インド準備銀、政策金利を据え置き、低インフレ下で政策効果の浸透を注視

(インド)

ムンバイ発

2025年10月09日

インド準備銀行(RBI、中央銀行)は9月29日~10月1日に金融政策決定会合(MPC)を開催し、政策金利(レポレート)を5.50%で据え置くことを全会一致で決定した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(添付資料図参照)。金融政策スタンスは引き続き「中立(neutral)」とした。前回8月会合に続き、2会合連続での据え置きとなる(2025年8月8日記事参照)。

RBIは声明で、2025年度第1四半期(2025年4~6月)の実質GDP成長率が7.8%と市場予想を上回る高成長を示した一方、消費者物価指数(CPI)上昇率は7月に過去8年で最低の1.6%を記録し、8月も2.1%にとどまるなど、物価の落ち着きが鮮明となっていることを指摘した。こうした動向を踏まえ、2025年度(2025年4月~2026年3月)のCPI上昇率見通しを、8月時点の3.1%から2.6%へ下方修正した(第2四半期:1.8%、第3四半期:1.8%、第4四半期:4.0%)。

成長見通しについては、好調なモンスーンによる降雨の進展や農村需要の回復、物品・サービス税(GST)の税率合理化(2025年9月25日記事参照)などが内需を下支えするとし、2025年度の実質GDP成長率予測を従来の6.5%から6.8%に上方修正した(第2四半期:7.0%、第3四半期:6.4%、第4四半期:6.2%)。2026年度第1四半期(2026年4~6月)は、6.4%を見込んでいる。

サンジャイ・マルホトラ総裁は声明で、「食料価格の下落とGST合理化により、インフレ見通しは一段と安定化している」と述べた上で、「これまで実施した累計100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げや財政措置の効果はなお浸透途上にあり、現時点での追加利下げは時期尚早」と強調した。

大手証券・資産運用グループのアナンド・ラティ・グループのチーフエコノミスト兼エグゼクティブディレクター、スジャン・ハジラ氏は「今回の据え置きは市場の予想どおりだが、堅調な成長とインフレ鈍化を背景に、今後25~50bpの追加利下げが行われる可能性もある」と指摘した。さらに、「米国の利下げ観測や国内のGST改革が追い風となり、金融政策には緩和余地が生まれている。こうした環境は、インドの金融市場を下支えするだろう」との見方を示している(「タイムズ・オブ・インディア」紙10月1日)。

(篠田正大)

(インド)

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