物品・サービス税(GST)新税率、9月22日から施行

(インド)

ニューデリー発

2025年09月25日

インド財務省は9月3日、ナレンドラ・モディ首相が8月に発表した「次世代の物品・サービス税(GST)」改革(2025年8月22日記事参照)について、同日開催された第56回GST評議会で承認を受けたと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これにより、インドの消費税にあたるGSTについて、税率の区分が簡素化されるほか、多くの品目で税率が引き下げとなる。新税率はたばこなどの一部品目を除き、9月22日から施行された。

品目別にみると、輸送機器では排気量が1200cc未満で全長が4メートル未満の小型の内燃機関自動車(ハイブリッド車を含む、ディーゼルエンジン車は1500cc未満)ならびに排気量350cc未満の二輪車で、税率が従来の28%から18%に引き下げとなる。上記に当てはまらない中・大型の内燃機関自動車・二輪車については、特別税率である40%が課され従来の28%から引き上げとなる一方、自動車へのGST補償税(GST Compensation Cess:CESS)(注)が撤廃されるため、実質的には減税となる。なお、電気自動車(EV)に関しては、2019年8月から5%の軽減税率が適用されており、引き続き変更はない。

生活に身近な加工食品や日用品に関しても、多くの品目で従来の18%または12%から5%に引き下げとなる。対象には、菓子やバター、シャンプー、台所用品、教育関連用品などが含まれる。一方で、炭酸飲料やカフェイン入り飲料(エナジードリンクなど)に関しては、従来の28%から40%に引き上げとなる。衣料品に関しては、販売価格により税率が異なり、現在は販売価格が1,000ルピー(約1,700円、1ルピー=約1.7円)以下で5%、1,000ルピーを超える場合に12%となっているが、改正以降は、2,500ルピー以下で5%、2,500ルピーを超える場合に18%に設定され、2,500ルピーを上回る製品に対しては増税となる。

インドでは例年、ヒンドゥー教最大行事であるディワリに向けて、消費が大きく伸びる。2025年のディワリは10月後半に予定されており、これに合わせて実施される減税により消費者の購買意欲が例年以上に高まることへ期待が集まっている。

(注)GST補償税(GST Compensation Cess:CESS)は、2017年7月のGST制度導入時に、GST導入による州政府の税収減を補償することを目的として導入された制度で、自動車やたばこなどの「贅沢(ぜいたく)品」に対してGSTに加えて課税を行うもの。当初は5年後の2022年6月までの暫定措置とされていたが、2026年3月まで延長されている。

(丸山春花)

(インド)

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