ハノイ市で「国家イノベーションデー」開催、ラム書記長も来場

(ベトナム、日本)

ハノイ発

2025年10月07日

ベトナム科学技術省と財政省は10月1日から3日にかけて、「国家イノベーションデー(Innovate Vietnam 2025)」をハノイ市内西部の国家イノベーションセンター(Vietnam National Innovation Center:NIC)ホアラックで開催した。政府は10月1日を「国家イノベーションデー」と定め、イベントは、科学技術やイノベーションの発展方針などを定めた共産党の政治局決議57号(2025年9月1日付地域・分析レポート参照)を具現化していく一環として企画したものだ。

主催者の発表によると、同イベント内の展示会には、世界大手から地場企業まで約200企業のブースの出展があった。

ジェトロは、日本とベトナムの官民連携の枠組み「新しい日越共同イニシアチブ」のうち、「イノベーション/DX推進」をテーマに行うプロジェクトの取り組みとして(2024年4月4日記事参照)、NICと共催でブースを出展した。日本企業とベトナムスタートアップの協業連携事例(注1)や、カーボンニュートラルに資する日系企業の製品、サービス(注2)を紹介した。出展企業と出展内容は次のとおり。

日越協業事例ブース

  • 学研×キディハブ(Kiddihub):ベトナム幼稚園でのSTEAM教育(注3)展開
  • NTT×A-wing:ターゲティング広告などをアセアン(ASEAN)・日本で展開
  • 東芝ソフトウェア×アイメソフト(Aimesoft):人工知能(AI)を活用した日越語翻訳・議事録作成ツールの共同展開
  • デンソー×アイチェック(i Check):偽造防止に優れるSQRC(Secure QR Code)の共同展開

カーボンニュートラル日系企業ブース

  • パナソニックエレクトリックワークス:生産性向上につながるコスト削減や製造ライン付帯設備の最適化ソシューション
  • IHI:既設石炭火力発電所向け脱炭素ロードマップ作成支援、アンモニア燃焼技術・バイオマス燃焼技術を活用した石炭火力発電所における二酸化炭素(CO2)削減
  • 豊田通商:国際再生可能エネルギー証書(IREC)の発行、工場向け省エネルギー診断・省エネルギー設備

イベント初日には、トー・ラム共産党書記長やファム・ミン・チン首相をはじめ、国内外の官民関係者800人が式典に出席した。ラム書記長は式典で「技術、イノベーション、デジタル変革は最重要な戦略的突破口だ」と述べ、イノベーション分野に注力する方針を強調した。チン首相は海外のパートナーに対し、ベトナムのスタートアップやテクノロジー企業が海外市場、グローバルサプライチェーンとつながる重要性を呼び掛けた。

また、ラム書記長やチン首相、グエン・チー・ズン副首相らのベトナム要人は、伊藤直樹・駐ベトナム大使や小篠春彦ジェトロ・ハノイ事務所長立ち会いの下、日系企業のブースも視察した。

写真 ジェトロのブースを視察するトー・ラム書記長(写真中央)とファム・ミン・チン首相(中央右)(NIC提供)

ジェトロのブースを視察するトー・ラム書記長(写真中央)とファム・ミン・チン首相(中央右)(NIC提供)

写真 学研×キディハブ(Kiddihub)のブース(ジェトロ撮影)

学研×キディハブ(Kiddihub)のブース(ジェトロ撮影)

(注1)出展企業はいずれも、ジェトロのビジネスプラットフォーム「J-Bridge」をきっかけとし、協業につながった。

(注2)各社の取り組みは、ジェトロが作成した「ベトナムのカーボンニュートラル達成に向けて ―脱炭素に取り組む日系企業ビジネス集―」内でも紹介している。

(注3)STEAMとは、「Science」(科学)、「Technology」(技術)、「Engineering」(工学)、「Art」(芸術)、「Mathematics」(数学)の頭文字を取ったもの。

(萩原遼太朗)

(ベトナム、日本)

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