AZECでCCS協力などマレーシア関連の覚書は9件

(マレーシア、日本、ASEAN)

クアラルンプール発

2025年10月30日

アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)の第3回首脳会合が10月26日、クアラルンプールで開催された。共同声明では、AZEC原則の重要性を再確認するとともに、2024年会合で採択された「今後10年のためのアクションプラン」に基づくこの1年の進捗状況を共有した(2025年10月29日記事参照)。

これに先立って17日に行われた第3回閣僚会合(2025年10月21日記事参照)で、加盟国はカーボンニュートラル/ネットゼロ排出に向けた多様かつ現実的な道筋が存在することを認識しつつ、各国の状況に応じたエネルギー移行を加速する努力を継続し、AZECでの協力強化について合意した。各国政府からは、電力部門や産業部門の脱炭素化や、脱炭素の技術開発を促すトランジションファイナンス(移行金融)などへの取り組みに関する発言があった。

本会合に向け、日本とAZECパートナー国企業や関係機関間で、新たに49件の覚書が締結PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)され、うちマレーシア関連の覚書は9件だった。住友商事はマレーシアの再生可能エネルギー発電会社リニコラホールディングスと、同国とインドネシアでのバイオエネルギー事業を共同開発する。三井物産は国有石油会社ペトロナス、フランスの石油大手トタルエナジーズと、マレー半島沖南部での二酸化炭素(CO2)の回収・貯留(CCS)案件の基本契約を締結した。このほか、バイオテクノロジー企業ユーグレナによるバイオ燃料商業化事業会社への出資や、日本の経済産業省とマレーシア経済省のCCS分野における協力覚書などが含まれた。政府間のCCS協力については、日本で液化したCO2をマレーシアに運び、枯渇ガス田などに貯留するに当たって政策的検討や調整を行い、2030年までの事業開始を目指す。

脱炭素に取り組む在マレーシア日本企業も協業模索

マレーシア投資開発庁(MIDA)は同時期に開催した環境技術展示会IGEM2025外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、73億リンギ(約2,628億円、1リンギ=約36円)相当の潜在グリーン投資を確保したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。MIDAは、国家エネルギーロードマップ(NETR)や新産業マスタープラン(NIMP)2030などの戦略に基づく、環境関連のインセンティブを通じて投資を呼びかけた。AZECを通じた技術移転や官民連携の促進も、これら戦略と整合するものだ。

ジェトロは、IGEM2025と同時開催されたASEAN Centre for Energy(ACE)主催のASEANエネルギービジネスフォーラム2025(AEBF-25)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、資源エネルギー庁が設置したジャパンパビリオン内に出展し、マレーシアでの日本企業の脱炭素技術やサービスを紹介する「脱炭素カタログ」を展示した。ASEAN各国の政府・企業関係者に向けて日本のグリーントランスフォーメーション(GX)ソリューションを発信し、域内での協業機会の創出と連携促進を図った。

写真 AEBFでのジェトロブース(ジェトロ撮影)

AEBFでのジェトロブース(ジェトロ撮影)

(吾郷伊都子、近藤皐平)

(マレーシア、日本、ASEAN)

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