AfCFTAウェビナー、ジェトロなどが開催、自動車・繊維分野の交渉に進展
(アフリカ)
調査部中東アフリカ課
2025年10月17日
ジェトロと国連開発計画(UNDP)、国際協力機構(JICA)の3機関は10月10日、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の最新の取り組み状況と今後の展望を紹介する「AfCFTAウェビナー」を開催した。自動車、建設機械、精密機械、消費財メーカー、銀行、保険などの業種から約100人が参加した。
AfCFTAは、アフリカ域内での物品関税撤廃や、サービス貿易や投資の自由化、競争力強化政策、知的財産保護などを盛り込んだアフリカ連合(AU)主導の自由貿易協定(FTA)で、アフリカの域内貿易拡大と工業化につながることが期待されている(2023年5月11日付地域・分析レポート参照)。
セミナー冒頭のあいさつでは、外務省中東アフリカ局アフリカ部の今西靖治参事官がAfCFTAの実現を日本政府としても全面的に支援していきたいと述べた。ジェトロの藤井麻理調査部長は、アフリカは大きな経済規模を抱えている国がある一方、市場が細かく分かれていることがビジネスの難しさにもなっていると指摘し、AfCFTAを通じた市場統合の重要性を強調した。
UNDPのリージョナルプログラムアドバイザーのコミ・ツォウ(Komi Tsowou)氏はAfCFTAの最新動向を説明した。AfCFTAは現在49カ国が批准書の寄託を完了している一方、自動車や繊維の分野で原産地規則の交渉が残っている(2025年8月26日記事参照)。ツォウ氏は、自動車・繊維分野での原産地規則の交渉についても進展があり、近く正式に発表がある予定と述べた。
ガーナ政府のAfCFTA国家事務所のエデム・ヌマジ(Edem Numadzi)氏はAfCFTA輸出の具体的な手続きについて説明を行った。AfCFTAの下では90%の品目の関税が5年以内〔後発開発途上国(LDC)では10年以内〕に撤廃されるが、一部のセンシティブ品目は関税率が異なることになる。この点を受け、各品目の関税率をAfCFTA事務局の公式ウェブサイト「E-Tariff Book」で確認できることなどを紹介した。
その後、アフリカで実際に事業を行っている企業が特別経済区(SEZ)で製造した製品をAfCFTA市場に輸出した体験談を語った。また、9月4~10日にアルジェリアの首都アルジェで開催された展示会「Intra-African Trade Fair(IATF)」に参加した日本企業が体験談を語り、高い技術力を持つ日本企業にとって、アフリカ市場にはさまざまなチャンスがあると述べた。
(波多野瞭平)
(アフリカ)
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