世界税関機構、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)を解説、原産地証明書の発給進む
(アフリカ)
調査部中東アフリカ課
2025年08月26日
世界税関機構(WCO)は8月21日、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の現状を解説するハイブリッドセミナーを横浜市で主催した。第9回アフリカ開発会議(TICAD9)の公式テーマ別イベントとして実施したもので、財務省関税局や国際協力機構(JICA)が共催した。
セミナーでは、WCOの藤光基裕氏が登壇し、AfCFTAの概要や関税譲許表、原産地規則の最新の交渉状況について解説した。
特に2025年以降の進捗については、次のとおり。
- 関税譲許表:2025年5月時点で49カ国が関税譲許表をAfCFTA事務局に提出し、サントメ・プリンシペを除いて、AfCFTAとの整合性を確認済み。南アフリカ共和国(南ア)、ケニア、ガーナ、ナイジェリア、アルジェリア、エジプト、モロッコ、チュニジアなど23カ国は官報にも掲載済み(注)。
- 原産地規則:2025年6月時点で、タリフライン92.4%の品目について合意済み。交渉が残っている品目のほとんどが繊維品と自動車で、引き続き交渉予定。
- 試験プログラム(Guided Trade Initiative、GTI):2025年1月時点で、原産地証明書の累計発給件数は南ア1,580件、エジプト948件、タンザニア226件、チュニジア120件、ガーナ105件、ケニア58件、ナイジェリア10件、ルワンダ9件、モーリシャスとカメルーンでそれぞれ2件。
こうした状況を踏まえ、藤光氏は「原産地証明書の発給が進んでおり、AfCFTAは既に現実のものとなってきている」と述べた。一方で、関税削減だけではアフリカへの経済効果は小さく、貿易円滑化措置の実施が重要だと指摘し、WCOは引き続きJICAと協力してAfCFTAの実施能力構築を支援していくと述べた。
参加者からは、「原産地証明書はどこで入手できるか」といった質問があり、藤光氏は「基本的には各国の商工会議所が発給することになっており、電子形式での発給も検討が進んでいる」と回答した。
原産性の判断基準については、2024年6月5日記事参照。
なお、各国の事情や商品によっても状況が異なるため、詳細はAfCFTA事務局ウェブサイトや「AfCFTA e-Tariff Book
」などを参照。
(注)その他、官報掲載済みはカメルーン、ボツワナ、エスワティニ、レソト、ナミビア、ブルンジ、ルワンダ、南スーダン、タンザニア、ウガンダ、ガンビア、マラウイ、モーリシャス、セーシェル、ザンビア。なお、南スーダンは東アフリカ共同体(EAC)として、原産地規則の官報掲載まで進んでいるが、AfCFTAの枠組み協定には署名済み・未加入。
(坂根咲花)
(アフリカ)
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