政策金利を27.0%に引き下げ、インフレ抑制と成長の両立目指す

(ナイジェリア)

ラゴス発

2025年10月01日

ナイジェリア中央銀行(CBN)は9月22日と23日に金融政策委員会(MPC)を開催し、政策金利(MPR)を27.50%から27.0%へ、50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げた。7月の前回会合では政策金利を据え置きにしていた(2025年7月28日記事参照)。今回発表した決定は次のとおり。

  1. 政策金利の27.0%への引き下げ
  2. コリドーの上限と下限を+250/-250に調整(注1)
  3. 預金準備率(CRR)の引き上げ。商業銀行は45%、マーチャントバンク(国際金融業者)は16%、政府関連の公的部門預金には75%を導入
  4. 流動性比率(LR)30%を維持

MPCは政策金利を引き下げた理由として、過去5カ月にわたる継続的なインフレ率の低下などを挙げた。8月の総合インフレ率は20.12%(前年同月比)で、7月の21.88%から下がり、食料インフレ率も8月は21.87%(7月は22.74%)と改善している。さらに、2025年は年間でインフレ率低下の予測があることや(注2)、経済回復支援に政策金利引き下げが必要なことを挙げた。預金準備率の引き上げは市中に出回る資金を減らし、インフレを抑制する狙いがある。金融セクターについては、既に14の銀行が資本増強の要件を完全に満たしており(2024年4月18日記事参照)、MPCは銀行システムの財務健全性指標の大半が基準内で維持されていることを確認している。

2025年第2四半期(4~7月)の実質GDP成長率は前年同期比4.23%で、第1四半期(1~3月)の3.13%から改善し、特に石油セクターの業績が大幅によくなっている。外貨準備高は9月に430億5,000万ドル(輸入カバー期間8.28カ月)と、7月の400億5,100万ドルから伸び、経常収支は第2四半期で52億8,000万ドルの黒字を記録し、第1四半期の28億5,000万ドルから大きく改善した。

MPCはこうしたマクロ経済の安定に満足の意を示しつつ、引き続き物価安定という中核的使命を達成するために、データ主導の政策対応をしていくことを強調した。

次回のMPCは2025年11月24~25日に開催の予定だ。

(注1)CBNが商業銀行に対して提供する貸出金利と預入金利の範囲を示す。

(注2)MPCでは、過去の金利引き締め効果による物価の抑制効果や、為替レートの安定、ガソリン価格の低下、収穫期の到来による食料価格の緩和などが全体的なインフレ率の低下に貢献すると予測している。

(奥貴史)

(ナイジェリア)

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