政策金利27.50%を再び維持、インフレ抑制を優先

(ナイジェリア)

ラゴス発

2025年07月28日

ナイジェリア中央銀行(CBN)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は7月21~22日に金融政策委員会(MPC)を開催し、全ての政策パラメーター(注)を据え置くことを全会一致で決定した。この決定は、高水準のインフレを抑制することを優先し、3会合連続で現行の政策金利27.50%を維持した(2025年3月3日記事5月23日記事参照)。

MPCは次の評価により、今回の判断とした。

  • 2025年第1四半期(1~3月)の実質GDPが3.13%成長、2025年の購買担当者景気指数(PMI)も拡大基調にある。
  • 総外貨準備高は7月18日時点で401億1,000万ドルに増加(同国の財輸入の約9.5カ月分に相当)。
  • 2026年3月までに義務付けられた銀行の資本増強要件(2024年4月18日記事参照)を8行が達成しており、他行も同要件に取り組み、銀行システムの安定性が向上している。
  • インフレ率について、ヘッドラインインフレ率が前年同月比で、5月の22.97%から6月には22.22%に低下した一方で、食料品インフレ率が21.14%から21.97%へ、コアインフレ率(農産物とエネルギーを除く全ての項目)は22.28%から22.76%に上昇している。

今回のMPCに先立ち、CBNは金利について事前調査を行っており、65.8%が利子引き下げを支持していた。また、ラゴス商工会議所(LCCI)やナイジェリア製造業者協会(MAN)は、27.50%の高金利が同国のビジネス環境を厳しくしているとして、利下げを求めていた。

しかし、MPCでは、現在の為替レートは、公開市場操作の短期証券の高い利回りに支えられている側面もあることから、時期尚早な利下げが通貨ナイラを不安定化させる懸念も示していた。また、ヘッドラインインフレ率は前月比で、5月の1.53%から6月が1.68%と引き続き上昇していることや、米国関税問題や地政学的緊張も考慮する必要があり、物価の安定をコミットするためにインフレリスクが十分に後退するまで、引き締めの金融政策を維持する判断に至ったとしている。

次回のMPC会合は9月22~23日に予定されている。

(注)政策金利(MPR)27.50%、政策金利に対する非対称コリドー(+500/-100ベーシスポイント、預金準備率(預金銀行:50%、商業銀行:16%)、流動性比率(LR)30%とする。なお、中銀が金利の上限と下限を定め、その範囲内で金利が推移する方法を「コリドーシステム」と呼び、プラス・マイナスの幅が異なるものを「非対称コリドー」と呼ぶ。

(奥貴史)

(ナイジェリア)

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