エジプト・日本高専開校、日本企業が採用を期待、韓国政府も職業訓練校設立を発表
(エジプト、日本、韓国、ドイツ)
カイロ発
2025年10月07日
日本の支援による日本式5年カリキュラムの高等専門学校「エジプト・日本高専(EJ-Kosen)」が9月21日、2クラス48人の生徒を迎え入れて、エジプトのカイロ北東のテンス・オブ・ラマダン市に開校した。中学卒業年齢に当たる15歳から入学でき、ロボット工学、メカトロニクス、情報通信技術(ICT)、エネルギーシステムなどを中心に、プロジェクトベースの学習(PBL、注)や、インターンシップを導入して実践的なスキルと知識を高め、「ものづくり」と「カイゼン」(継続的な改善)を学ぶ。開校式には岩井文男・駐エジプト日本大使、エジプト政府からラシャ・サード・シャラフ教育開発基金(EDF)事務総長らが参列した。
日産エジプトのマネジングディレクター、モハメド・アブデル・サマド氏はジェトロの取材に、同校卒業生の採用への期待をにじませた。また、「エジプトの若者がEJ-Kosenで実践的かつ世界水準の工学原理を習得することで、日本のイノベーションの伝統を継承することができる。この学校で高度な技術を身につけた学生が現実世界にソリューションをもたらし、エジプトの産業の持続可能な未来への歩みを加速させ、世界へとその影響力を拡大していく製造業のリーダーとなることを期待している」と述べた。なお、日産エジプトは2005年の設立以来、エジプトの自動車メーカーでは唯一の外資100%企業で、2024年の国内販売台数シェア15.9%で、首位を維持している(2025年6月9日付地域・分析レポート参照)。
同校が位置するテンス・オブ・ラマダン市は国内有数の工業団地を擁しており、日本企業ではワイヤーハーネス国内最大手の住友電装(2025年6月5日記事参照)、日立エナジー(変圧器)、ユニ・チャーム(紙おむつ、生理用品)、YKK(ファスナー)、大塚製薬(輸液、2025年1月7日記事参照)の工場が立地している。
一方、韓国の政府開発援助実施機関の韓国国際協力団(KOICA)は9月25日、1,000万ドルの無償資金協力により、自動車部門、特に電気自動車(EV)と圧縮天然ガス(CNG)エンジン技術に焦点を当てた職業訓練学校を設立すると発表した。EVやCNGのほか、ガソリン車のエンジン、フレーム、電気系統、ボディー修理、塗装の技術を学生が習得することを目指している。
国際協力による高等技術専門学校の設立事例では、ドイツの政府開発援助実施機関GIZが設立したムバラク・コール高等専門学校もある。1991年の設立当時のエジプト大統領とドイツ首相の名前が校名の由来で、エジプト国内に現在、約13校が存在している。
(注)実社会に存在する問題や仮説をプロジェクトとして解決する形式の学習を指す。
(西澤成世)
(エジプト、日本、韓国、ドイツ)
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