米商務省、政府閉鎖の中、安全保障に必要な輸出許可の優先審査を発表

(米国)

ニューヨーク発

2025年10月14日

米国では、2026会計年度(2025年10月1日~2026年9月30日)の歳出法案が成立するまでのつなぎ予算を成立できず、10月1日から政府閉鎖が続いている。連邦議会上院は連日、つなぎ予算法案の採決を行っているが、10月9日までに否決された回数は7回に上る。政府閉鎖の解除に向けた道筋はいまだみえていない。

政府閉鎖が1週間続くごとにGDPが0.1~0.2%減少するなど(ブルームバーグ10月10日)、政府閉鎖による経済への悪影響などが伝えられる一方で(2025年10月3日記事参照)、貿易面では輸出入手続きや各国との通商交渉、1962年通商拡大法232条に基づく調査などは継続されている(2025年10月2日記事参照)。

そうした中、軍民両用(デュアルユース)品目の輸出管理を所掌する商務省産業安全保障局(BIS)は、「SNAP-Rシステム(注1)から提出された、米国の国家安全保障および生命・財産の安全を保護するために必要な、緊急の輸出許可(ライセンス)申請は優先して審査する」との声明をウェブサイトに発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。具体例に、米軍の作戦や世界中の同盟国・パートナー国を支援する輸出を挙げている。迅速な処理を要請する場合には、申請時に「追加情報(Additional Information)」欄へ「予算執行停止期間中の優先処理を要請(priority processing is requested during a lapse in appropriations)」と明記し、米国の国家安全保障上の緊急優先事項または生命・財産の安全との関連性を明記する必要がある。さらに、同内容のメールをBIS宛てに送信することも必要だ(注2)。

政府閉鎖については、医療費負担適正化法(オバマケア)に基づく医療保険補助金の延長などを中心に、共和党と民主党の意見の対立が解消されておらず、打開策が見通せていない。マイク・ジョンソン下院議長(共和党、ルイジアナ州)は10月10日、上院民主党が予算案を承認次第「われわれは議会に復帰し法案審議を再開する」と述べ、下院での審議停止を継続する姿勢を示した。下院では既につなぎ予算案は可決されており、上院民主党に対して、共和党が主導した下院のつなぎ予算案を支持するよう圧力をかけることが目的とみられている(議会専門紙「ザ・ヒル」10月10日)。

(注1)BISへ輸出許可申請を行う、電子申請システム。

(注2)メールの送付先は、EmergencyLicense@bis.doc.gov外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(赤平大寿)

(米国)

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