米国、政府閉鎖は2日目に突入も依然として解決の糸口は見えず

(米国)

ニューヨーク発

2025年10月03日

米国では、2026会計年度(2025年10月1日から2026年9月30日)の歳出法案が成立するまでの間のつなぎ予算の成立に失敗し、10月1日から政府閉鎖に突入している(2025年10月2日記事参照)。上院では、連日、つなぎ予算法案を投票にかけていく方針だが、10月1日に実施された投票では賛成55票、反対45票で3度否決された。つなぎ予算をめぐる4回目の投票は10月3日に実施される予定で、ここで再度否決された場合には、政府閉鎖は翌週まで持ち越されることとなる。

政府閉鎖がいつ解消するのかは、依然として見通し難い。共和党は、政府閉鎖が継続した場合にとり得る選択肢とその影響について具体的に言及することなどによって、民主党に対する圧力を強め、つなぎ予算に賛成する議員を増やしていくことを基本的な方針としているもようだ。政府閉鎖に伴い生じ得る具体的な措置に関しては、大統領経済諮問委員会(CEA)が、低所得の母子向け栄養プログラム(WIC)をはじめとする社会保障給付の遅れ、連邦政府職員の解雇や賃金の未払いの発生、住宅ローン処理の遅れなど民間企業への影響などを列挙した文書を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。また、ラッセル・ボード行政管理予算局(OMB)局長は、(1)政府機関における職員の大規模な解雇を一両日中に開始すると述べている(議会専門誌ザ・ヒル10月2日)ほか、自身のSNSにおいて(2)ハキーム・ジェフェリーズ下院少数党院内総務(ニューヨーク州、民主党)、チャック・シューマー上院少数党院内総務(ニューヨーク州、民主党)の地盤であるニューヨーク市の地下鉄工事などのインフラ整備の停止などにも言及し、引き続き圧力を強めている。

もっとも、少なくとも表向きはこうした強硬姿勢を維持しつつ、政府閉鎖をめぐる最大の焦点となっている医療費負担適正化法(オバマケア)に基づく医療保険補助金の延長に関しては、打開の糸口を探る動きもみられる。ジョン・スーン多数党院内総務(サウスダコタ州、共和党)は、政府閉鎖期間中はオバマケア延長に関する内容面での交渉はしないとの意思を示す一方で、政治専門誌ポリティコによる「政府閉鎖終了後のオバマケア延長をめぐる交渉の進め方や、歳出法案の進め方について民主党と協議する意思があるか」との質問に対しては肯定的な回答をし、上院において、既にこれらについての超党派での議論が始まっている旨の回答を行っている(ポリティコ10月2日)。ただ、こうした上院の動きに対し下院共和党内でも一部から反発がみられるほか、オバマケア延長に関する内容面での議論なしにどの程度、民主党の協力を得られるかはわからない。

なお、政府閉鎖をめぐり、共和党・民主党のいずれに責任があると考えるかについては、共和党により責任があるとの世論調査が複数示されている。例えば、10月1日に「ワシントン・ポスト」紙が行った調査では、トランプ大統領および共和党に責任があるとした者が47%、民主党にあるとした者が30%となっている。

(加藤翔一)

(米国)

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