コートジボワール、カカオ豆生産者価格が過去最高を更新

(コートジボワール)

アビジャン発

2025年10月17日

世界最大のカカオ豆生産国であるコートジボワールで10月1日、2025/2026収穫年度(2025年10月1日~2026年9月30日)のメインクロップ(2025年10月~2026年3月)の出荷が始まった。出荷開始式典に参加した同国のアラサン・ワタラ大統領は、新収穫年度のメインクロップの生産者買い上げ保証価格を過去最高となる1キログラム当たり2,800CFAフラン(約756円、1CFAフラン=約0.27円)に設定したと発表した。前収穫年度のメインクロップは1キロ1,800CFAフラン(2024年10月9日記事参照)、同ミドルクロップ(2024年4月~2024年9月)は2,200CFAフラン(2025年4月17日記事参照)と、過去最高額の更新が続く。

ワタラ大統領は、強靭で持続可能な農業の推進を訴えるとともに、生産者の努力に敬意を表した。生産者の生活改善に向け、登録生産者に対する無料の国民健康保険制度(CMU)、学校や保健センター、地方道路の改修などの基礎的な経済インフラ整備の支援を継続することを約束した。また、農業セクターの競争力強化と近代化、国内加工率の向上、そして若者の農業セクターへの参入の重要性を強調した。

コートジボワール政府は、2030年までにカカオ豆の現地加工率を100%にする目標を掲げ(2021年11月19日記事参照)、近年、コートジボワールではカカオ加工工場の建設が相次いでいる(2023年9月19日記事参照)。2025年6月26日には、アビジャン北部郊外のアクペ・ゼウジ工業団地に、コーヒー・カカオ評議会(CCC)傘下の公営企業トランスカオCIによるカカオ加工複合施設トランスカオPK24が開業した。トランスカオPK24は、21ヘクタールの敷地内に年間磨砕能力5万トンの加工ユニット、保管能力16万トンの倉庫、カカオ・チョコレート職業訓練センター、管理棟を備える。トランスカオCIは、サンペドロ市の年間磨砕能力5万トンの工場と合わせ、年間加工能力は10万トンとなる。さらに、今後2年以内に生産ラインの拡張を行い、グループ全体の年間カカオ磨砕能力は21万トンに増強される計画で、外資系多国籍企業が多数を占める同国のカカオ加工における影響力の強化が期待されている(2025年6月27日付「エコフィン・エージェンシー」)。

(長屋幸一郎、橘欣子)

(コートジボワール)

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