カカオ豆生産者価格を過去最高の2,200CFAフランに引き上げ
(コートジボワール、米国)
アビジャン発
2025年04月17日
世界最大のカカオ豆生産国コートジボワールで、2024/2025収穫年度(2024年10月1日~2025年9月30日)のミッドクロップ(2025年4月1日~2025年9月30日)のカカオ豆出荷が4月1日から始まった。翌2日にコベナン・クアシ・アジュマニ農業・農村開発・食糧生産相は、当該期の生産者最低買い上げ保証価格について、メインクロップ(2024年10月1日~2025年3月31日)より22%増の過去最高となる1キロ当たり2,200CFAフラン(約550円、1CFAフラン=約0.25円)に引き上げると発表した(4月3日付エコフィン・エージェンシー報道)。国際カカオ機関(ICCO)によると、2024/2025収穫年度のコートジボワールのカカオ豆生産は前年度比10.5%増の185万トンの見通しだ。
同大臣はまた、110万1,500人のカカオとコーヒーの生産者に対して、医療費を100%カバーする国民皆保険(CMU)サービスを利用できるよう、政府が総額9億5,200万CFAフランの健康保険料を支払ったとし、福祉の促進にも注力していると述べた(4月10日付アビジャン・ネット)。
「ジュヌ・アフリック」紙(3月31日付)によると、 3月末に終わったメインクロップでは、国内のカカオ豆取引上位 5 業者はこれまでと変わらず、米国カーギル・ウエスト・アフリカがトップの約17万トン、次いでシンガポールのオラム(約12万トン)、スイスのバリー・カレボー(約11万トン)、フランスのトゥートン(約9万3,000トン)、コートジボワールのS3C(約8万5,000トン)となっている。
一方、コートジボワール産カカオ豆は、より高値で取引されるブルキナファソやギニア、リベリアといった近隣諸国へ違法に流出しており、監視システムの強化にもかかわらず、依然として大きな問題となっている。
カカオ市場、供給過多を予測
国際カカオ機関(ICCO)が2月28日に発表したレポートによると、2024/2025収穫年度のカカオ豆の世界生産量は484万トンと、前年度比7.8%増加する見通しだ。チョコレートやカカオ製品需要の先行指標となる世界の磨砕量(まさいりょう)は465万トンと、4.8%減の予測になっている。世界在庫量は147万8,000トンと10.6%増加するとみている。需給バランスは14万2,000トンの供給過多の見通しだ。
カカオ国際価格の指標となるニューヨーク先物市場価格は、2024年12月に最高値を更新する1トン1万2,000ドルを突破したが、ICCOの供給過剰を示す需給予測を受け、売りが広がり、3月14日には約4カ月ぶりの安値となる7,800ドル台にまで下落した。現在8,000ドル台で推移している。
米国の相互関税の影響も
現地報道によると、米国が発表した相互関税(2025年4月3日記事参照)に対し、アジュマニ農業・農村開発・食糧生産相は4月10日、カカオ豆価格の上昇につながる措置を講じる可能性を示唆し、米国政府に再考を促した。また、追加関税が課された場合、カカオ豆の最大の輸出先の欧州に切り替えて需要減に対応することも可能とし、欧州との貿易関係がより深まるだろうとする見解を示した。米国の発表では、コートジボワールに対して21%の関税を設定している。コートジボワールの対米主要輸出産品は、カカオ、カシューナッツ、天然ゴムで、輸出額は約9億5,000万ドルに上り、アフリカ地域で上位の対米輸出国となっている。
(渡辺久美子)
(コートジボワール、米国)
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