外資によるカカオ加工・磨砕工場の建設が相次ぐ

(コートジボワール)

アビジャン発

2023年09月19日

コートジボワール南部バッサム市で98日、現地でカカオ栽培と1次加工を行うベルギーのKKOインターナショナルが新工場を開設すると発表した。同社はコートジボワールを拠点に大規模なカカオ農園を経営しており、その規模は約2,500ヘクタールに及ぶ。新工場では既存工場の3倍の広さと生産ラインの倍増を予定しており、同社は20241月までに操業を始め、同年下半期には2次加工品の生産開始を見込んでいる。

近年、コートジボワールのカカオ生産量は200万トン超で推移しており、世界総生産量の約4割を占めているものの、国内加工率はわずか33%に過ぎず、多くが原料豆の状態で輸出されている。これを受けて、コートジボワール政府は国内の加工能力を押し上げるため、民間企業の投資を優遇し、2030年までにコートジボワール産のカカオ豆すべてを国内で加工する方針を打ち出した(2021年11月19日記事参照)。

こうした政策を受け、これまでカカオ豆の輸出に力を入れてきた外資企業の戦略にも影響が出ている。711日には、ベルギーのピュラトスがアビジャン市内のヨプゴン地区でカカオ加工工場を落成し操業を開始した。商業・産業・中小企業振興省(MCIPPME)によると、この工場には約711,000CFAフラン(約17億円、1CFAフラン=約0.24円)が投じられ、約100人の直接・間接雇用が創出されたという。また721日には、マレーシアのグアンチョン(GCB)がサンペドロ市にカカオ加工工場を落成した。同工場は第1期工事終了時点で年間6万トンのカカオ磨砕能力を持ち、最終的には年間24万トンまで増やす予定で、総投資額は460CFAフランと見積もられている。さらに724日、トルコのMFBインターナショナルが、カカオを含む食品加工工場の建設に15,000万ユーロを投資すると発表した。投資額のうち、8,500万ユーロがカカオ豆加工工場の建設に、6,500万ユーロが小麦の製粉工場の建設に割り当てられる。

コートジボワールには、すでにカーギル(米国)、オラム(シンガポール)、バリー・カレボー(スイス)、トゥートン(フランス)、セモワ(フランス)などの大手外資企業がカカオ関連事業を展開している。20122013カカオ収穫年度(101日~930日)に全体で約468,000トンだったカカオ豆の加工量は、20212022年度には約675,000トンと20万トン以上増加しているが、それでも20212022年度全体のカカオ収穫量210万トンの約3分の1程度だ。コートジボワールにおけるカカオ豆の国内加工は着実に進展しているものの、現状では収穫量の3分の2が生豆のまま輸出されている。

これを受け、スレイマン・ディアラスバ商業・産業・中小企業振興相は「コートジボワールが第一次産業から第二次産業への転換という段階に来ており、近い将来、国民が長年夢見てきたチョコレートの生産国になれるのではないか」と期待を示した。

(藤本海香子)

(コートジボワール)

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