IMF、サブサハラ地域の2025年成長率見通しを4.1%と発表

(アフリカ、ナイジェリア、コートジボワール、ガーナ、エチオピア、ケニア、モザンビーク、南アフリカ共和国、アンゴラ)

調査部中東アフリカ課

2025年10月23日

IMFは10月16日に発表した「地域経済見通し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(サブサハラ・アフリカ)」において、2025年の同地域の予測成長率は4.1%で、2026年には4.4%と0.3ポイントの上昇が見込まれるとした。IMFが2025年7月に発表した「世界経済見通し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」は同地域の2025年の成長率の見通しを4.0%としており、ほぼ横ばいの数字となった。

主要国をみると、エチオピアでは輸出の成長、ナイジェリアでは石油セクターの業績の大幅な改善などが経済の安定をもたらしており(2025年7月16日記事2025年10月1日記事参照)、コートジボワールでもサービス業、石油・天然ガス、鉱業の貢献により6%超上の力強い経済成長とインフレの抑制が実現している(2025年10月16日記事参照)。

サブサハラ地域は、パンデミックが発生した2020年の経済成長率はマイナス3.1%だったが、その後は毎年約4%の着実な成長を続けており、IMFは同地域の外的ショックからの回復力を評価した。各国の2025年の成長率の見通しは次のとおり(かっこ内は2024年の成長率実績)。

  • エチオピア:7.2%(8.1%)
  • コートジボワール:6.4%(6.0%)
  • ケニア:4.8%(4.7%)
  • ガーナ:4.0%(5.7%)
  • ナイジェリア:3.9%(4.1%)
  • モザンビーク:2.5%(2.1%)
  • 南アフリカ共和国:1.1%(0.5%)

一方、IMFは同地域のマクロ経済が抱える脆弱(ぜいじゃく)性も指摘した。⽶国の輸入関税の引き上げやアフリカ成長機会法(AGOA)の失効(2025年9月24日記事参照)、開発援助の大幅な削減が、一部の低所得国などに深刻な影響を与えているとした。域内の約3分の1の国では外貨準備⾼が輸入額の3カ月分に満たない状況にあることを指摘した。また、アンゴラ、エチオピア、ガーナ、ナイジェリアを含むサブサハラ地域の約5分の1の国では、少なくとも2025年末まではインフレ率が2桁台を維持すると予測した。IMFは、マクロ経済の安定確保と開発目標の推進のため、税務行政の改善による歳入の確保の重要性を強調した。これには包括的な納税者名簿の構築や、電子申告•電子納税の標準化などが含まれる。また、債務統計の公表などによる公的債務の透明性の向上で、投資家の信頼が高まり、資金借り入れコストの削減につながる可能性があるとした。

なお、世界銀行は10月7日、サブサハラ地域の2025年の成長率を3.8%とする予測を発表している外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(波多野瞭平)

(アフリカ、ナイジェリア、コートジボワール、ガーナ、エチオピア、ケニア、モザンビーク、南アフリカ共和国、アンゴラ)

ビジネス短信 48f3cbf82c9af870