テチアナ・ベレジナ氏が人道政策担当副首相兼文化相に就任

(ウクライナ)

キーウ発

2025年10月23日

ウクライナ最高会議(国会)は10月21日、テチアナ・ベレジナ文化・戦略的コミュニケーション相臨時代行を、副首相(人道政策担当)兼文化相に任命した。この任命決議案は、ユリア・スビリデンコ首相から最高会議への提案に基づくもので、最高会議での決議は266票の賛成多数で承認された(注)。

ベレジナ副首相は法律事務所で長年勤務し、2017年に弁護士資格を取得。2022年6月に経済省次官に就任し、2025年の大阪・関西万博ではウクライナ政府代表として同国パビリオンの設置を担当した(2025年4月21日記事参照)。2025年7月28日からは文化・戦略的コミュニケーション相臨時代行を務めた。

スビリデンコ内閣において、同氏の第1副首相兼経済相時代(2021年11月~2025年7月)の経済省次官を閣僚に登用するのは、タラス・カチカ副首相(欧州、欧州大西洋統合担当)、オレクシー・ソボレフ経済・環境・農業相に続いて3人目(2025年7月22日記事参照)。

ベレジナ副首相は本決議案の投票に際して、文化は国家の基盤であるとともに、今日では国家の安全保障に関わる問題であると指摘し、自らの活動の優先事項として次の点を挙げた。

  • 文化分野への資金誘致:国による支援のほか、企業による文化・芸術活動を支援するための法制度の整備。
  • 文化遺産の保全:ウクライナの伝統、文化施設、芸術品を保全するだけでなく、戦時下であっても発展させること。
  • 文化機関の自立と持続可能性の確保:文化機関が独立性を保ち使命を遂行できるよう、財政的自立を支える仕組みの整備。

ウクライナ最高会議人道・情報政策委員会のイェウヘニヤ・クラウチュク副委員長のSNSによると、最高会議の決議に先立つ10月15日に開催された同委員会の場で、ベレジナ氏が、現在の「文化・戦略的コミュニケーション省」から「戦略的コミュニケーション」の機能が分離され、「文化省」になると述べた。

写真 日ウクライナビジネスフォーラム(2024年12月)でのベレジナ氏の登壇の様子(ジェトロ撮影)

日ウクライナビジネスフォーラム(2024年12月)でのベレジナ氏の登壇の様子(ジェトロ撮影)

(注)ウクライナ憲法第114条によると、閣僚会議(内閣)は首相、第1副首相、副首相、大臣で構成され、首相、国防相、外相を除くその構成員は首相の提案に基づき最高会議により任命される。

(坂口良平)

(ウクライナ)

ビジネス短信 47b41f1b4b30b58c