ウクライナ、大阪・関西万博で自由や尊厳をアピール、モルドバは観光客誘致に関心

(ウクライナ、モルドバ)

調査部欧州課

2025年04月21日

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の初日となった4月13日、ウクライナのパビリオンで、同国政府主催の開所式が行われた。パビリオンでは「Not for Sale(非売品)」というテーマで、自国の自由や尊厳の重要性や、レジリエンス(回復力)を示す国民の生活ぶりなどを紹介している。モルドバは、出展を通じて、観光客誘致などの経済効果に期待している。

ウクライナパビリオン開所式には、同国の万博コミッショナーゼネラルで、経済省のテチアナ・ベレジナ次官が出席した。同次官はテーマの「Not for Sale」について、「ほとんど全てのものに値段がつくこの世界には、売ってはならないものがあるという明確なメッセージを発信している。生きる価値観、それは自由、尊厳、レジリエンスであり、これらは未来の社会の礎となるべきだ。ウクライナはこれらの価値観を言葉ではなく、行動で示している」と述べた。

パビリオンはウクライナ国旗の色の黄色と青で構成し、18種類の青のオブジェを置いている。入場時に貸し出される端末でオブジェに貼られたバーコードを読み取ると、端末の画面上で、そのオブジェにまつわる現在の戦時下での国民の生活ぶりや取り組みなどを映像で見ることができる。困難な状況下でも活動を継続していることを象徴するウクライナ主要企業のオブジェや映像も展示している。

写真 ウクライナのパビリオン(ジェトロ撮影)

ウクライナのパビリオン(ジェトロ撮影)

写真 ウクライナ主要企業の展示(ジェトロ撮影)

ウクライナ主要企業の展示(ジェトロ撮影)

筆者が14日にウクライナパビリオンを訪問したところ、他国・地域と共同で出展する共同館の中でも多数の来場者を集め、関心の高さがうかがえた。

モルドバのパビリオンでは、特産品のワインの紹介に加え、同国の文化や伝統を示すオブジェを展示している。同国の経済発展・デジタル化省は414日、万博参加について記者発表し、「ビジネス関係の強化や、新しい市場の開拓、観光客誘致を行う機会を提供する」として、経済効果に期待を示した。

写真 モルドバ産ワインの展示(ジェトロ撮影)

モルドバ産ワインの展示(ジェトロ撮影)

ウクライナ、モルドバのナショナルデーはそれぞれ8月5日、8月31日。モルドバは7月19日に「学びと遊び」をテーマ(注)に、「モルドバと日本の出会い:アニメとゲームの旅」と題して、モルドバのクリエーティブ産業を紹介するイベントを開催する。

(注)万博で地球的規模の課題解決に向けて対話を促す8つのテーマの1つ。ほかに「未来への文化共創」「未来のコミュニティとモビリティ」「食と暮らしの未来」「健康とウェルビーイング」「平和と人権」「地球の未来と生物多様性」「SDGs+Beyond いのち輝く未来社会」がある。各テーマで「テーマウイーク」と呼ばれる特定の期間中に、関係イベントが万博会場内外で開催される。

(浅元薫哉)

(ウクライナ、モルドバ)

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