イスラエル中銀、14会合連続で金利据え置き、2025年GDP成長率見通しは2.5%に下方修正
(イスラエル、パレスチナ)
テルアビブ発
2025年10月06日
イスラエル中央銀行は9月29日の金融委員会会合で、政策金利を4.5%に据え置くことを決定した。これで14会合連続の据え置きとなる。
中銀のアミール・ヤロン総裁は会合後の記者会見で「イスラエル経済は強固な基盤に支えられ、戦闘期間中も驚くべき回復力と安定性を示したが、戦闘は経済活動に大きな痕跡を残している」と述べた。
物価動向については、8月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比2.9%と、目標範囲(1~3%)の上限付近に収まった。中銀の見通しによると、今後数カ月間、インフレ率は目標範囲の上限付近で推移し、一時的にはそれを上回る可能性もあるが、2026年初頭から緩和傾向に転じるとみている。なお、8月は前月比では0.7%上昇となった。
為替市場では、前回8月20日の金融政策決定(2025年8月25日記事参照)以降、通貨シェケルは対ドルで約1%、対ユーロで約0.8%上昇した。
また、中銀調査部が9月29日に公表した経済見通しでは、パレスチナ自治区ガザでの戦闘が2026年第1四半期(1~3月)に終結するシナリオを前提に、2025年のGDP成長率見通しを2.5%と、7月時点の予測(2025年7月10日記事参照)から0.8ポイント下方修正した。一方、2026年の見通しについては4.7%と、前回から0.1ポイント上方修正した。
CPI上昇率は、2025年第4四半期(10~12月)は3.0%、2026年第4四半期には2.2%になると予測している。2026年第3四半期(7~9月)の平均政策金利は3.75%、財政赤字額は2025年にGDP比5.1%、2026年には同4.3%に低下すると予測しており、債務残高の対GDP比は2025年、2026年ともに71.0%で推移するとみている。
次回の政策金利決定は11月24日に予定されている。
イスラエルの軍事衝突の関連情報は、ジェトロのイスラエルとハマスの衝突の特集、イスラエルとイラン情勢の特集を参照。
(アリサ・ノスキン、中溝丘)
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