イスラエル中銀、13会合連続で金利据え置き、対イラン軍事作戦で第2四半期GDP成長率は年率マイナス3.5%
(イスラエル、イラン、パレスチナ)
テルアビブ発
2025年08月25日
イスラエル中央銀行は8月20日の金融委員会会合で、政策金利を4.5%に据え置くことを決定した。これで13会合連続の据え置きとなる。中銀は声明で、経済活動は対イラン軍事作戦「ライジング・ライオン作戦」(2025年6月13日記事、6月26日記事参照)中に大幅に落ち込んだ後は、回復基調にあるが、地政学的不確実性が高い状況が続いていると指摘した。
物価動向については、7月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比3.1%と、目標範囲(1~3%)の上限をわずかに上回った。中銀によると、インフレ率は今後数カ月で目標範囲に収束すると予測している。前月比では、6月は0.3%上昇、7月は0.4%上昇となった。
2025年第2四半期(4~6月)のGDPは、前期比年率でマイナス3.5%だったが、この数値は対イラン軍事作戦による一時的な影響を大きく反映しているとして、中銀は、この影響を除けば、成長率はプラスだったと説明している。一方、7月の経済指標は迅速な回復を示しており、クレジットカード支出は同作戦前を上回る水準に達しているという。イスラエル中央統計局の企業景況感調査も改善傾向にあり、8月にはさらなる回復を見込む企業が多数を占めるとしている。
為替市場では、前回2025年7月7日の金融政策決定(2025年7月10日記事参照)以降、通貨シェケルは対ドルで約1.3%、対ユーロで0.9%下落した。
過去12カ月の累積財政赤字額はGDP比4.9%と、前月比0.2ポイント縮小した。7月の税収増加が寄与したが、政府は赤字上限を5.2%に引き上げる決定を行っており、今後の安全保障情勢次第では財政負担の増大が懸念される。中銀調査部は、パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘が長期化すれば供給制約が続き、成長鈍化と赤字拡大、インフレ加速のリスクがあると指摘している。
労働市場は依然として逼迫しているが、広義の失業率は7月に3.5%で、対イラン作戦前とほぼ同じ水準にある。予備役勤務による臨時欠勤率は7月に0.8%まで大幅に低下した。
次回の政策金利決定は9月29日に予定されている。
イスラエルの軍事衝突の関連情報は、ジェトロのイスラエルとハマスの衝突の特集、イスラエルとイラン情勢の特集を参照。
(アリサ・ノスキン、中溝丘)
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