イスラエル中銀、政策金利を12会合連続で据え置き、2025年成長率は3.3%に下方修正
(イスラエル、イラン、パレスチナ)
テルアビブ発
2025年07月10日
イスラエル中央銀行は7月7日、金融委員会会合で政策金利を4.5%に据え置くことを決定した。12会合連続の据え置きとなり、地政学的な緊張が続く中でも金融政策の安定性を維持する姿勢を示した。
中銀のアミール・ヤロン総裁は会合後の記者会見で、6月に実施された対イラン軍事作戦「ライジング・ライオン作戦」(2025年6月13日記事、6月26日記事参照)に言及し、「作戦の影響を背景に、ここ数週間はかなりの不確実性がみられたが、イスラエル経済は引き続き回復力を示している」と述べた。また、同総裁は「軍事作戦に伴う即時的な財政コストはGDPの約1%に相当する」と明らかにした。
物価動向については、5月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比3.1%と、目標範囲(1~3%)の上限をわずかに上回った。
為替市場では、前回5月26日の金融政策決定(2025年6月2日記事参照)以降、通貨シェケルは対ドルで約7.3%、対ユーロで約3.8%上昇した。
また、中銀調査部が7月7日に公表した経済見通しでは、対イラン軍事作戦の直接的な影響により、2025年のGDP成長率見通しを3.3%と、4月時点の予測(2025年4月11日記事参照)から0.2ポイント下方修正している。一方、イランとの停戦継続やパレスチナ自治区ガザ地区での戦闘終結による投資の拡大や輸出の増加を見込み、2026年の見通しについては4.6%と、前回から0.6ポイント上方修正している。
CPI上昇率は、2025年末は2.6%、2026年末は2.0%になると予測している。2026年第2四半期(4~6月)の平均政策金利は3.75%、財政赤字額は、2025年にGDP比4.9%、2026年には同4.2%に低下すると予測しており、債務残高の対GDP比は2025年に70.0%、2026年には71.0%になるとみている。
次回の政策金利決定は8月20日に予定されている。
イスラエルの軍事衝突の関連情報は、ジェトロのイスラエルとハマスの衝突の特集、イスラエルとイラン情勢の特集を参照。
(アリサ・ノスキン、中溝丘)
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