レアアース関連品目を含む複数の品目を輸出管理の対象に追加
(中国)
武漢発
2025年10月14日
中国商務部と海関総署は10月9日、「輸出管理法」「対外貿易法」「税関法」「両用品目輸出管理条例」に基づき、レアアースおよびその関連設備を含む複数の品目に対して、輸出管理を実施する旨の公告を発表した。同日に発表された関連の公告は計4つあり、いずれも施行日は11月8日とされている。なお、両用品目輸出管理リストも、これらの公告に基づき更新されるとした。それぞれの公告の主な内容は次のとおり。
(1)超硬質材料関連品目に対する輸出規制:
商務部・海関総署公告2025第55号で、指定の特性を満たす人工ダイヤモンド関連品目や、直流プラズマジェットCVD(DCPCVD)設備および技術に関連した品目を輸出管理の対象に追加。
(2)一部のレアアース関連設備および原材料関連品目に対する輸出規制:
商務部・海関総署公告2025第56号で、指定の特性を満たすレアアースの生産・加工設備や、レアアースの原材料および補助材料関連品目を輸出管理の対象に追加。
(3)一部の中・重稀土類(レアアース)関連品目に対する輸出規制:
商務部・海関総署公告2025第57号で、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、ユウロピウム、イッテルビウムの関連品目を輸出管理の対象に追加。
(4)リチウム電池および人工イオン黒鉛(グラファイト)を用いた負極材料関連品目に対する輸出規制:
商務部・海関総署公告2025第58号で、リチウムイオン電池、正極材料、および黒鉛を用いた負極材料の関連品目を輸出管理の対象に追加。
輸出業者は、輸出貨物や技術が輸出管理対象品目に該当する場合、輸出管理法および両用品目輸出管理条例に基づき、関連の許可を取得しなくてはならない(注)。また、税関申告書の備考欄に「両用品目に該当する」と明記したうえで、該当の管理コードを記載しなければならないとした。さらに、輸出管理対象外の品目であったとしても、性能やパラメータ等が近似している場合は、税関申告書の備考欄に「両用品目に該当しない」と明記したうえで、その具体的なパラメータなどを記入する必要があるとした。
また、商務部は10月9日の報道官談話で、輸出規制の対象となった品目が軍民両用の性質を兼ね備えていることに触れたうえで、規定に従ってこれらの品目に対する輸出管理措置を講じることは、国際的な通例にも合致しており、拡散防止といった国際的義務を履行するものであるとした。加えて、中国は各国との産業チェーン・サプライチェーンの安定および円滑な流通の維持を望んでおり、今回の措置はいかなる特定国・地域を対象としたものでもないと述べた。
(注)中国はこれまで、ガリウム、ゲルマニウム、黒鉛(グラファイト)、アンチモン、超硬質材料、タングステン、テルル、ビスマス、モリブデン、インジウム、中・重希土類レアアースなど、各種両用品目に対する輸出管理を実施している(2023年7月4日、2023年10月26日、2024年8月19日、2025年2月4日、2025年4月7日記事参照)。上記品目や両用品目輸出管理リストに記載の品目を輸出する輸出者は、商務部(輸出者の所在地の地方商務局)に対して輸出許可を申請する必要がある。
(西島和希)
(中国)
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