ドイツ、EVの自動車税免除を延長

(ドイツ)

ミュンヘン発

2025年10月27日

ドイツ連邦財務省(BMF)は10月15日、電気自動車(EV、注1)に対する自動車税の免税措置の5年間延長を行うための法改正について閣議決定したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、ドイツ語)。従来は2025年末までに登録されたEVまたはEVに改造された自動車を免税対象としていたが、新規定では対象登録期間を2030年末までに延長した。また、免税の終了時期も2030年から5年間延長し2035年末までとした。本延長については2025年4月にキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)が公表した連立協定書に記載されていた(2025年4月14日記事参照)。

副首相を兼任するラース・クリングバイル財務相は今回の法改正に関して、「自動車産業の将来は電動化にある。これからより多くEVを普及させるためには、今こそ適切なインセンティブを設ける必要がある」とコメントした。免税延長により、EVの購入あるいは所有のコスト負担が軽減されるため、EV普及につながるとした。

ドイツ自動車産業連合会(VDA)のヒルデガルド・ミュラー会長も同意を示し、「もし免税措置が廃止された場合、(電気のみで走る)バッテリー式電気自動車(BEV)には、例えば(電気とガソリンで走る)ブラグインハイブリッド車(PHEV)よりも高い税率が適用されることになる。これは明らかに、市民の不安や買い控えを防ぐことに矛盾する」と述べた。

政府はここ数カ月の間に、今回の免税措置以外にもEVの普及に向けた政策を決定してきた。例えば、10月上旬には低・中所得世帯の環境配慮車への乗り換え促進プログラムを決定。同プログラムには2029年まで、EUの社会気候基金とドイツ連邦政府の気候・変革基金を活用する。

また、2025年7月に可決された投資優遇政策「投資ブースター」(2025年7月22日記事参照)の一環で、企業がEVを2025年7月~2027年12月末に購入する場合、購入年の税務申告において購入費用の75%を控除することが可能になった。また、企業がカンパニーカー(Dienstwagen)(注2)として購入する際に適用される、特別税制優遇措置の対象車両の上限額を7万ユーロから10万ユーロに引き上げた。

(注1)対象となるEV車の定義は、ドイツ自動車税法第9条第2項が適用される。同条項によると、「電動モーターのみで駆動し、そのエネルギーが完全、または主に機械的、または電気化学的なエネルギー貯蔵装置、または排出ガスを出さないエネルギー変換装置から供給される車両(電気自動車)」とされている。

(注2)企業が従業員に貸与し、プライベートも含め車両を利用できる制度。

(アンナ・グリンフェルダ)

(ドイツ)

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