日本財団、石油メジャーと海洋石油ガス分野の脱炭素化で連携技術開発の覚書締結
(米国、日本)
ヒューストン発
2025年10月02日
日本財団と海洋技術開発の国際コンソーシアムのディープスター(DeepStar、注)は9月25日(日本時間)、海洋石油ガス分野の脱炭素化や、安全性向上推進に向けた連携技術開発に関する覚書(第3期)に調印した。日本財団の尾形武寿会長、ディープスターのクレイ・トンプソン・ボードメンバーの立ち会いのもと、日本財団の海野光行常務理事とディープスターのシャキール・シャムジィー・ディレクターが署名した。
日本財団とディープスターは、2018年に海洋石油ガス分野の連携技術開発に関する覚書(第1期)に初めて調印し(2018年5月18日記事参照)、2021年に海洋石油ガス分野の脱炭素化や安全性向上に向けた連携技術開発に関する覚書(第2期)に調印している(2021年12月8日記事参照)。覚書に基づく連携プログラムは2019年度に始まり、現在、8件のプロジェクトが進行中だ(2025年5月15日記事参照)。
ジェトロは2018年の覚書締結段階からこのプロジェクトに携わり、これまで日本財団とディープスターの連携技術開発案件の組成や、各プロジェクトのパートナーとなる日本企業とディープスターとの契約締結支援、ウェブ会議を通じたプロジェクトの進捗管理などを通じて、採択された日本企業を積極的に支援している。
第3期連携プログラムでは、(1)次世代地熱発電技術、(2)海洋再生可能エネルギーを用いた洋上石油・ガス生産施設への電力供給関連技術、(3)海洋再生可能エネルギー導入を促進する関連技術、(4)生産施設での高効率可燃ガス除去・再注入関連技術、(5)二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)、またはCO2回収・利用・貯留(CCUS)関連技術、(6)洋上施設もしくは再生可能エネルギーからの水素製造・管理関連技術、(7)炭化水素などの流出防止にかかるモニタリング、拡散シミューレーション関連技術、(8)随伴水の処理関連技術、(9)無人施設などでロボットを用いたモニタリングなどの安全関連技術、(10)生産施設のデジタル監視・予想技術という10テーマを予定しており、日本財団が10月にウェブサイトで、連携技術開発の提案を募集する予定だ。
日本財団とディープスターがつくり上げたこの連携枠組みは、石油企業側のニーズを踏まえて、石油企業と共同で事業開発を行うことを通じて、成果が商用化に結び付くことを目指している。
署名式の様子(日本財団提供)
(注)ディープスターとは、上流企業と呼ばれるシェブロン(米国)、シェル(英国)、エクイノール(ノルウェー)など、世界中の海洋石油・天然ガスの探査・開発・生産を担う企業や、これらの企業に製品・サービスを提供する企業、大学、研究機関などから成る海洋技術開発のコンソーシアム。
(深石晃)
(米国、日本)
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