日本財団とDeepStar、海洋技術の共同開発のため覚書締結

(米国、日本)

ヒューストン発

2018年05月18日

日本財団とDeepStarは5月1日、テキサス州ヒューストンで技術協力に関する覚書に調印した。DeepStarとは海洋技術開発のコンソーシアムで、上流企業と呼ばれるシェブロン(米国)、スタトイル(ノルウェー)、ペトロブラス(ブラジル)、JX石油開発(日本)など、世界中の海洋石油・天然ガスの探査・開発・生産を担う企業や、これら企業に製品・サービスを提供する企業、大学、研究機関などから成る。

この組織は1991年に設立され、現在では水深3,000メートル級の大水深で石油・ガスを探査・開発・生産する技術の開発を手掛けている。特に2014年以降は油価下落を受け、海洋生産施設の操業・維持・管理コストの低減や生産性向上が大きな課題となっている。

ヒューストンから日本の海洋技術を世界に

他方、日本の製造業は、潜在的には優れた製品・技術を持ちながらも、一部企業を除いて海洋石油・ガスの分野への進出が遅く、既に参入済みの他企業に比べて技術的に大きく取り残されている。また上流企業は、新規参入者への門戸がほとんど開放されていないことも一因で、さらに知財保護の観点から上流企業のニーズすら把握困難という日本企業も少なくない。

DeepStarは技術開発に関連する知財の保護については厳しい規約を設け誓約を参加条件としており、規約の順守と参加費用を払えば新規参入者でも技術開発に参加できる仕組みになっている。今回の覚書は、上記のような状況に直面する日本企業にとってDeepStarのプラットフォームでの技術開発に参加する機会を広げると同時に、上流企業のニーズ把握や自社の製品・技術を知ってもらう機会となる。

ジェトロは日本財団の本覚書の調整段階から参画しており、引き続き本取り組みを支援していく。

(中川直人)

(米国、日本)

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