米中首脳が電話会談、TikTok協議に進展、APECに合わせ韓国で対面会談へ
(米国、中国、韓国)
ニューヨーク発
2025年09月24日
米国のドナルド・トランプ大統領は9月19日、中国の習近平国家出席と電話会談を実施した。米中首脳会談の実施は6月の電話会談以来で、今回が2回目。
米国時間9月22日午前時点で、電話会談に関する米国政府の公式文書の発表はない。ただし、トランプ氏は19日にSNS投稿を通じて、「有意義な電話会談だった」と評価した。具体的には、「貿易、フェンタニル、ロシアとウクライナの戦争終結の必要性、TikTokの合意の承認など、多くの極めて重要な課題で進展があった」と主張した。また、「(習氏の)TikTokの(合意の)承認に感謝する」と述べた。
2024年4月に成立した米国のTikTok規制法は、中国のバイトダンスから動画共有アプリ「TikTok」の米国事業が米国企業に売却されるなど適切に分割されない限り、2025年1月に同アプリの提供などを禁止する(2024年4月25日記事参照)。ただし、トランプ氏は2025年12月中旬まで同法の執行を延期している。スコット・ベッセント財務長官は、9月14~15日にスペイン・マドリードで実施した米中協議で、TikTokの米国事業の存続に関する協議の進展を促した上で、今回の電話会談で合意を最終確認すると明らかにしていた(2025年9月18日記事参照)。
今回の米中会談でのTikTokの米国事業存続に関する合意の成否は明らかでないが、米国政府高官は9月22日の記者会見で合意成立を示唆し、米国ソフトウエア大手のオラクルや米国プライベート・エクイティ(PE、未公開株)投資会社のシルバーレイクなどが参加する投資家グループが、TikTokの米国事業に資本参加すると説明した。さらに、米国事業の資本関係のみならず、アプリ上の動画コンテンツの表示順序を自動選定するアルゴリズムに関しても、TikTokを運営する中国のバイトダンスとの分割に向け、米国の投資家グループにライセンスが提供されるなどと説明した(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版9月22日)。
そのほか、トランプ氏は19日のSNS投稿を通じて、再度、習氏と電話会談を実施する意向を示した。さらに、今回の電話会談では、2025年10~11月のAPEC首脳会議にあわせて米中首脳会談を実施すること、2026年初頭に自身が中国を訪問すること、さらに「適切な時期」に習氏が米国を訪問することで、習氏と一致したと明らかにした。APEC首脳会議は10月27日から11月1日まで、韓国・慶州で開催が予定されている。
なお、米国の対中通商措置では、中国企業が所有や運航する船舶や中国で建造された船舶などの米国入港に対する追加料金の適用開始が10月14日(2025年6月11日記事参照)、米国の対中相互関税の留保期限が11月10日に迫る(2025年8月13日記事参照)。これら差し迫る対中通商措置のほか、米国製半導体や中国産重要鉱物の輸出管理措置などの懸案事項も残る。今後の米中首脳会談で、両国の通商問題で実質的な進展があるか注目される。
(葛西泰介)
(米国、中国、韓国)
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