米USTR、自動車運搬船とLNG輸送船の301条措置の修正案にパブコメ募集
(米国、中国、日本)
ニューヨーク発
2025年06月11日
米国通商代表部(USTR)は6月6日、中国の海事・物流・造船分野に対する1974年通商法301条に基づく措置の修正案に関するパブリックコメントの募集を開始した。コメントの受付期間は7月7日まで(注)。
USTRは4月17日に、中国企業が所有・運航する船舶、中国で建造された船舶、米国外で建造された自動車運搬船の米国入港に、段階的に追加料金を課すほか、液化天然ガス(LNG)の輸出に当たって、段階的に一定割合の米国で建造されたLNG輸送船の使用を求める制限を課す措置を発表した。追加料金は10月14日に徴収を開始する予定だ(2025年4月22日記事参照)。
USTRが今回公表した官報案によると、コメントは、自動車運搬船に関する措置(官報17114号
の付属書3)と、LNG輸送船に関する措置(同付属書4)の修正案に関して募集する。修正案の主な内容は次のとおり。
〇付属書3(h)項に記載の「船舶(vessel)」の用語を「自動車運搬船(vehicle carrier)」の用語に修正し、自動車運搬船にはRORO船(車両や機械類を自走させて船内に積み込む貨物船)を含むと注記する。同項に記載している、2025年10月14日以降に課す米国外で建造された自動車運搬船の入港に対する料金の算定基準を、自動車相当単位(CEU)あたり150ドルから、運搬船の純トン数あたり14ドルに修正する。また、付属書3に対象範囲の項目を追記し、米国政府の海事プログラムに登録される米国所有、または米国船籍の船舶や、米国政府の船舶・貨物には入港に対する料金が課されないことを規定する。
〇付属書4(j)項に記載している、LNG輸出に際して米国で建造された船舶の使用割合を満たせない場合に、USTRが輸出許可の停止を指示する権限に関して、4月17日にさかのぼって同条項を削除する。また、(k)項に記載の、2028年4月16日以降のLNG輸出にあたり、米国建造・運航船舶と非米国建造・運航船舶によるLNGの輸出割合をエネルギー省(DOE)に報告する要件に関して、報告主体をLNGターミナルから船舶運航者(オペレーター)に修正する。
なお、中国企業が所有・運航する船舶(同付属書1)や中国で建造された船舶(同付属書2)の米国入港に追加料金を課す措置については、修正案が発表されておらず、今回のコメント募集の対象として明示されていない。
(注)コメントは、USTRのウェブサイト(案件番号:USTR-2025-0013)から提出可能。
(葛西泰介)
(米国、中国、日本)
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