国連総会、「二国家解決」の実現に向けた決議を採択
(イスラエル、パレスチナ、フランス、サウジアラビア、米国、世界)
テルアビブ発
2025年09月16日
国連総会は9月12日、イスラエルとパレスチナの「二国家解決」の実現を目指す決議「ニューヨーク宣言」を142カ国の賛成多数で採択した。同宣言は、2025年7月にフランスとサウジアラビアの主催で国連本部において開催された国際会議の成果であり(2025年8月5日記事参照)、国連では9月22日に「パレスチナ問題の平和的解決および二国家解決の実施に関するハイレベル国際会議
」が予定されている。
ニューヨーク宣言の決議では、国連加盟193カ国のうち、142カ国が賛成票を投じた。G7諸国では、米国を除く日本、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの6カ国が賛成票を投じた。反対票を投じたのは、アルゼンチン、ハンガリー、イスラエル、ミクロネシア、ナウル、パラオ、パプアニューギニア、パラグアイ、トンガ、米国の10カ国で、棄権はアルバニア、カメルーン、チェコ、コンゴ民主共和国、エクアドル、エチオピア、フィジー、グアテマラ、北マケドニア、モルドバ、サモア、南スーダンの12カ国だった。
決議の採択に関するUN NewsのX(旧Twitter)でのコメント画面
採択に先立ち、フランスのジェローム・ボナフォン国連大使は「この宣言は、二国家解決を実現するための唯一のロードマップである」とし、「ガザでの即時停戦と人質の解放、主権あるパレスチナ国家の樹立、ハマスの武装解除と排除、イスラエルとアラブ諸国の関係正常化、そしてイスラエルを含む集団安全保障の保証の実施が含まれる」と説明した。
一方、イスラエルのダニー・ダノン国連大使は「この一方的な宣言は、平和への一歩ではなく、国連総会の信頼性を損なう空虚なジェスチャーに過ぎない」と批判した。また、米国のモーガン・オルタガス参事官は「ハマスが武装解除し、人質を解放し、降伏すれば、戦闘は明日にも終結する可能性がある。しかし、ハマスは依然として拒否し続けている」と述べ、今回の決議は、「ハマスに報いるだけで戦闘を長引かせ、人質解放とガザの苦しみを終わらせる外交努力を損なう」と非難した。
採択後、パレスチナ自治政府のリヤド・マンスール国連常駐オブザーバーは、宣言の採択に謝意を示すとともに、ガザでの戦闘終結、人質解放、食料封鎖の停止、ガザ再建、違法占領の終結、国際司法裁判所(ICJ)勧告の実施、二国家共存の解決、そして中東の平和と発展を求める国々に「共に参加する」よう呼びかけた。
イスラエルとハマスの衝突の詳細については、ジェトロの特集を参照。
(中溝丘)
(イスラエル、パレスチナ、フランス、サウジアラビア、米国、世界)
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