エヌビディア、インテルに50億ドル出資、製品の共同開発で競争力強化へ

(米国)

サンフランシスコ発

2025年09月25日

米国の半導体大手エヌビディアは9月18日、同業の米インテルに50億ドルを出資し、同社株式の約4%を取得すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。両社は同時に、データセンターおよびパソコン(PC)向けに複数世代にわたり新製品を共同開発すると明らかにした。

今回の協業により、インテルはデータセンター向けに、エヌビディア専用のカスタム設計x86中央演算処理装置(CPU)を提供し、エヌビディアの人工知能(AI)インフラ製品に組み込む。両社はエヌビディアが開発した高速インターコネクト技術「NVLink」を採用し、CPUとグラフィックスプロセッシングユニット(画像処理装置、GPU)を高速で接続する計画で、これは大規模AI処理に不可欠とされる。

PC分野では、インテルがエヌビディアのRTX GPUチップレットを搭載した「x86 RTX SoC(注1)」を製造し、幅広いPC市場に投入する方針だ。複数のメディアで、これによりインテルは米同業のアドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)製CPUに対して競争優位を持つ可能性がある、と指摘されている。

また、インテルが展開する半導体受託製造(ファウンドリー)事業であるインテル・ファウンドリーが共同製品向けカスタム設計のCPUを提供し、エヌビディア製GPUとのパッケージングを担うことも合意に含まれる。この共同開発された新製品の需要が高まれば、インテル自身で製造投資できるだけの生産量となる可能性も複数のメディアで示唆された。

エヌビディアのジェンスン・ファン創業者兼最高経営責任者(CEO)は「AIは新たな産業革命を牽引し、あらゆる層を再構築している。その中心にあるのがエヌビディアのクーダ・アーキテクチャ(注2)だ」と強調し、「この歴史的協業は、エヌビディアのAI技術とインテルのCPU、x86エコシステムを融合させ、次世代コンピューティングの基盤を築くものだ」と述べた。インテルのリップブー・タンCEOも「x86アーキテクチャは現代コンピューティングの基盤であり、今回の協業により新たなブレークスルーをもたらす」と述べた。

なお、インテルは8月下旬にソフトバンクから20億ドル、米政府から約89憶ドルの出資を受けており、今回のエヌビディアによる出資が加わったことで、インテル再建の流れが現実味を帯びてきている(2025年8月25日記事2025年8月27日記事参照)。

(注1)システム・オン・チップの略。CPU、GPUやメモリなどを1枚の半導体チップの中にまとめたもの。

(注2)クーダ(CUDA)とはCompute Unified Device Architectureの略で、エヌビディアが開発・提供しているGPU向けの汎用並列コンピューティングプラットフォームおよびプログラミングモデル。

(松井美樹)

(米国)

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