ソフトバンクグループ、米インテルに20億ドル出資、米政府も株式取得を検討
(米国、日本)
サンフランシスコ発
2025年08月25日
米国の半導体大手インテルを巡り、ソフトバンクグループと米政府が相次いで出資の動きを見せている。ソフトバンクグループは8月18日、インテルの株式を20億ドル取得する契約を締結したと発表した。孫正義会長兼最高経営責任者(CEO)は「半導体はあらゆる産業の基盤だ。インテルは50年以上にわたって信頼されるイノベーションのリーダーで、今回の戦略的投資はインテルが重要な役割を果たす先進的な半導体の製造と供給が米国内でより発展していくことを期待して行うものだ」と述べた。これにより、ソフトバンクはインテルの株式の2%を保有することになり、6番目に大きな株主となる(「ウォールストリート・ジャーナル」紙8月18日)。
インテルCEOのリップブー・タン氏は孫氏に対して、「マサとは数十年にわたって緊密に協働してきたが、今回の投資によってインテルに寄せられた信頼に感謝する」と述べ、出資に謝意を示した。タンCEOはソフトバンクグループの取締役を務めたことに加え、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資する半導体スタートアップのサンバノーバの機械学習・データ分析部門代表の経験もある。インテルはかつてパソコンの半導体製造で市場を牽引したが、モバイルや人工知能(AI)分野で後れを取り、2024年には約190憶ドルの赤字を計上した。2025年3月に就任したタンCEOの下で大規模なコスト削減と人員削減を進めており、オハイオ州で進める「シリコン・ハートランド」工場建設も2030年からの稼働に延期した。
一方、米政権もインテルの株式取得を検討している。ハワード・ラトニック商務長官は8月19日、米ビジネス専門メディアCNBCのインタビューで、バイデン政権下のCHIPSプラス法に基づく補助金の引き換えとして、「われわれは資金に見合う株式を受け取るべきだ」と発言した。ただ、政府はインテルに対して議決権や経営への関与権限を持つものではないとも述べた。さらに、ドナルド・トランプ大統領は他のCHIPSプラス法支援先企業(2024年7月1日、9月20日、11月27日、12月16日、2025年1月14日、1月15日記事参照)とも、同様の取引を模索する可能性も指摘した。
(松井美樹)
(米国、日本)
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