トランプ米大統領、TikTok規制法の執行再延期、4回目の米中通商協議でTikTok米国事業の継続協議
(米国、中国)
ニューヨーク発
2025年09月18日
米国のドナルド・トランプ大統領は9月16日、中国発の動画共有アプリ「TikTok」の規制法の執行開始を12月16日まで90日間再延期する大統領令を発令した。
2024年4月に成立したTikTok規制法は、TikTokを運営する中国のバイトダンスからTikTokの米国事業が米国企業に売却されるなど適切に分割されない限り、2025年1月にアプリの提供などを禁止するとしていた(2024年4月25日記事参照)。ただし、トランプ氏はこれまで3回にわたって同法の執行開始を延期し、3回目の延期期限が9月17日に迫っていた(2025年6月23日記事参照)。
同大統領令に先立ち、スコット・ベッセント財務長官とジェミソン・グリア通商代表部(USTR)代表は9月14~15日、スペイン・マドリードで中国の何立峰副首相(中国共産党中央政治局委員)らと通商協議を実施した。両国閣僚の対面協議の実施は7月のスウェーデン・ストックホルム以来(2025年8月13日記事参照)、2025年に入って今回が4回目。
協議後のベッセント長官の発言によると、両国の閣僚は主にTikTokを引き続き米国で利用可能とするための合意の枠組みを協議した。9月19日に予定されるトランプ氏と中国の習近平国家主席の首脳会談で合意を最終的に確認するとしている(政治専門誌「ポリティコ」9月15日)。なお、TikTokを巡る合意の詳細は現時点で明らかではない。
協議ではTikTokのほか、米国は中国に対し、中国によるロシアやイラン産の原油の輸入抑制を提起した。米国はロシア産の石油の輸入などを理由に、インドに25%の追加関税を課す「2次関税」を発動しているほか(2025年8月7日記事参照)、G7各国に対して中国とインドに50~100%の2次関税を発動するよう提案している(ブルームバーグ9月12日)。ただし、ベッセント長官は協議後の会見で、欧州諸国が中国のロシア産原油の購入阻止を目的に中国とインドに関税を課さない限り、米国が中国に2次関税を課すことはないなどと述べている(ロイター9月15日)。
米中両国の関税や輸出管理に関する協議については、進展は少なかったもようだ。ベッセント長官は、輸出管理措置に関しては両国が1カ月後に再度協議すると述べたほか(「ポリティコ」9月15日)、グリア代表は、通商協議が順調に進展した場合、米国は追加関税の停止期限の再延期を検討する用意があるなどと述べた(ロイター9月15日)。
米中両国はストックホルムでの協議を通じ、11月10日まで相互に発動する関税措置の一部の適用を停止している。
(葛西泰介)
(米国、中国)
ビジネス短信 a58790c0f6ad3684