日本・エジプト経済合同委員会、マドブーリー首相迎え6年半ぶり開催
(エジプト、日本)
カイロ発
2025年09月02日
日本・エジプト経済委員会(JEBC、事務局は日本商工会議所国際部)とエジプト・日本経済委員会(EJBC)が主催する第12回日本・エジプト経済合同委員会会議/日本・エジプト投資会議が8月19日、東京で開催された。加留部淳・JEBC委員長(豊田通商シニアエグゼクティブアドバイザー、経団連アフリカ地域委員長)、イブラヒム・エルアラビ・EJBC委員長(エルアラビ会長、2025年7月16日記事参照)のほか、来賓として古賀友一郎・経済産業副大臣、小笠原憲一・国土交通省大臣官房海外プロジェクト審議官があいさつした。エジプトからはムスタファ・マドブーリー首相とムハンマド・アハメド・アブデル・ラティフ教育・技術教育相が基調講演した。同合同委員会は2019年3月の第11回以来、約6年半ぶりの開催となった。マドブーリー首相にとっては、第9回アフリカ開発会議(TICAD9)にあわせての初来日だった(2025年8月28日記事参照)。
加留部JEBC委員長は、「エジプトは中東・アフリカ・欧州の物流拠点・戦略的要所だ。エジプト政府からは日本からのさらなる投資への期待が高く、日本企業にとってはアフリカ市場への足掛かりとなる製造拠点として魅力的だ」と述べた。
マドブーリー首相は、「エジプトは2023年3月に柔軟な為替政策に移行して以降、外国為替市場が安定している。外資企業向け優遇措置、企業設立手続き円滑化、通関手続きの所要時間を2日間に短縮するなど投資環境を改善してきた」と述べ、さらに、「アフリカ、欧州、西アジアをスエズ運河や地中海で結ぶ戦略的な立地にあるエジプトに日本企業向け工業団地を設立し、また政府が投資を優遇している自動車産業、再生可能エネルギー、海水淡水化設備の現地生産を促進することについて日本企業の協力を得たい」と述べた。
パネルディスカッションでは、IT・ソフトウエア開発、製造業、グリーンエネルギー、農業・食品加工分野の4セッションで両国企業が事業開発を議論した。
この会議の覚書(MOU)セッションでは、合計14件のMOU締結が発表された。
エジプト教育・技術教育省が東京都、カシオ・ミドルイースト・アンド・アフリカ、スプリックス(SPRIX、新潟県長岡市)、ヤマハとそれぞれ、技術・職業訓練、初等数学の教師能力開発、小中学校数学授業カリキュラム開発、音楽授業開発と教師育成などについてMOUを締結した。
スエズ運河経済特区(SCZONE)は伊藤忠商事、オラスコム(Orascom)との間でアンモニア燃料船舶向けバンカリング施設の設計・開発・運営について、また東京都との間ではグリーン水素分野の開発協力についてMOUを締結した。
企業間では、エルアラビとオンキヨーとが音響映像製品開発・販売についてMOUを発表した。豊田通商はエジプトの産業・運輸省、投資・貿易省と、自動車産業を含む経済発展に向けた相互協力のMOUを、またエジプト日本科学技術大学(E-JUST)との間では奨学金プログラム実施の意向表明書(LOI)締結を発表した。
(西澤成世)
(エジプト、日本)
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