東洋一通商、家電最大手エルアラビと合弁の建築・輸送機器ガラス工場稼働

(エジプト、日本)

カイロ発

2025年07月16日

東洋一通商は7月12日、エジプト最大手の家電メーカー、エルアラビと共同出資する建築・輸送機器用ガラス工場の稼働を記念する式典を開催した。式典には、カメル・ワジール副首相兼産業・運輸相、岩井文男駐エジプト日本大使、アムル・アドゥリー・エジプト-日本科学技術大学(E-JUST)学長らが参加した。

ガラス生産のために、東洋一通商とエルアラビが共同出資して設立した新会社ETEG(ElAraby Toyoichi Engineering Glass)の資本金は1,000万ドル。稼働当初は、住宅用断熱複層ガラス、商業ビル用ガラスを生産する。フロートガラスから強度を5倍に高め、着色ガラス、曲面ガラス、また平板ガラスは厚さ最大19ミリメートル、長さ6メートルの製品が生産できるラインを導入した。

エジプトはガラスの主成分であるシリカが豊富に産出できるため、コスト上で優位なうえ、人口の増加に伴って進む都市開発で、建築用ガラスの輸入代替需要が大きい。

東洋一通商は1985年設立で、当初は東芝やシャープなどのテレビ製造の海外展開に伴うプラント輸出や技術協力を担っていた。2010年に香港、2014年にタイ、2020年に東京でそれぞれエルアラビと合弁で現地法人を設立した。

エルアラビは、日本のシャープブランドの冷蔵庫(2024年8月2日記事参照)やエアコンのほか、欧州の調理・白物家電ブランド製品、また自社ブランド「トルネード(Tornado)」で白物家電や映像機器を生産している。E-JUSTは、工場敷地内の物流ルート改善など産学連携でエルアラビをサポートしている。内製している冷蔵庫の棚板、洗濯機フタ、ガスオーブン用耐熱ガラスの生産ノウハウを生かし、ETEGの設立により建築用ガラスがポートフォリオに加わった。建築用ガラスに加え、自動車、鉄道車両用のガラス生産も数年以内に着手する予定だ。

写真 稼働開始式典(ETEG提供)

稼働開始式典(ETEG提供)

(西澤成世)

(エジプト、日本)

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