ウズベキスタンのミルジヨエフ大統領が訪中、「一帯一路」との連携など確認

(ウズベキスタン、中国)

タシケント発

2025年09月08日

ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領は8月31日から9月3日、中国を公式訪問した。上海協力機構(SCO)第25回首脳会議(2025年9月3日記事参照)に参加したほか、習近平国家主席と首脳会談を行った。中国の「一帯一路」構想との連携を深める文書などの締結に加え、エネルギー分野を中心に投資・技術協力を議論した。

9月2日の首脳会談では、包括的戦略パートナーシップについて確認した。経済分野では2024年に140億ドルを超えた貿易額を200億ドルに拡大する方針を示した。電気自動車(EV)大手のBYDによる現地生産(2024年12月17日付地域・分析レポート参照)など、中国による投資プロジェクトが総額600億ドルを超えたことを踏まえ、活発な投資を確認した。

ミルジヨエフ大統領の中国訪問期間中、複数の協力文書が締結された。主な内容は次のとおり。

  • 「ウズベキスタン2030戦略」(注)と「一帯一路」の連携プログラム
  • 医療サービス分野での協力協定
  • 技術・経済協力協定
  • 人材開発分野での協力強化の協定
  • デジタル経済分野での協力強化の協定

ウズベキスタンのシェルゾド・アサドフ大統領報道官は、いずれの文書も貿易・投資の強化を目指すものだと述べた。特に「『ウズベキスタン2030戦略』と中国の『一帯一路』構想の連携プログラム」については、交通、科学、技術、農業、省エネ、保健分野のプロジェクトを推進する包括的な文書だと説明し、多様な分野で中国と協力を進める意向を示した(「Gazeta.uz」9月2日)。

ミルジヨエフ大統領は9月2日、中国のエネルギー・資源大手の企業各社とも会談した。中国石油天然気集団(CNPC)の戴厚良董事長とは、地下天然ガス貯蔵施設の建設プロジェクトなどについて議論した。中国建材集団(CNBM)の周育先董事長とは、風力・太陽光発電所の建設、蓄電システム導入・部材の現地生産などを協議した。中国核工業集団(CNNC)の申彦鋒董事長とは、ウラン鉱床の開発や地質調査での技術提供について会談した。また、ボビル・イスラモフ鉱業・地質相は、石炭やウラン、重要鉱物を含むエネルギー資源の採掘・生産の投資計画を中国と準備中と述べ、地質分野で総額約50億ドル規模の新規プロジェクト13件を実施することで合意したと明らかにした(「スポット」9月3日)。

ミルジヨエフ大統領は2024年1月にも訪中(2024年1月31日記事参照)、2025年6月にはカザフスタンでの「中央アジア+中国」首脳会議の枠内で、習近平国家主席と会談している(2025年6月27日記事参照)。

(注)2023年の大統領令で定めたウズベキスタンの発展目標。上位中所得国入りや国際基準を満たす教育・医療・社会保障の提供などを目指す。

(一瀬友太)

(ウズベキスタン、中国)

ビジネス短信 8da855567e68dcce