「中央アジア+中国」首脳会議、グリーン鉱物、物流、サプライチェーンの確保で協力を強化

(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、中国)

調査部欧州課

2025年06月27日

第2回中央アジア+中国首脳会議がカザフスタンのアスタナで6月17日に行われ、中央アジア5カ国の各大統領、中国の習近平国家主席が出席した。首脳間で恒久善隣友好協力条約と共同宣言文書が採択されたほか、物流や税関協力などの分野で計12件の協力文書が各国政府の間で締結された。

ホスト国となったカザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は首脳会議の演説の中で、8,000万人の人口と豊富な地下資源を有する中央アジアの地位が着実に高まっている点を指摘したうえで、「中央アジアと中国との関係が、永続的で、どんな環境下でも揺るがない包括的な戦略パートナーシップの水準に達した」と高く評価した。

各首脳間で署名された「第2回中央アジア+中国首脳会議のアスタナ宣言」では、協力分野として、脱炭素に必要な「グリーン鉱物」、再生可能エネルギー、インフラ分野での協力を強化するとともに、国際的なエネルギー・食料安全保障、国際輸送ルートの開発、サプライチェーン途絶防止に向けて各国が取り組むことが盛り込まれた。中央アジア各国のITパークのインフラを活用したイノベーションの導入、スタートアップ企業の立ち上げ、経験の共有などを行う意向も明記された。

首脳会議前日の16日には、アスタナで第2回中央アジア+中国産業投資フォーラムが開催された。カザフスタンの投資誘致機関カザフ・インベストの発表(6月16日)によると、同国と中国の組織間で総額240億ドル、58件の協力文書が締結された。中国の食品化学メーカーの阜豊集団は、ジャンブル州でのトウモロコシ加工に関する投資合意書をカザフスタン農業省と締結した。投資額は8億ドル。年間最大100万トンのトウモロコシを加工し、アミノ酸を生産する。電力設備メーカーの特変加工は、アルマトイ州政府と太陽光発電所などの建設に関する協力覚書を締結した。投資見込み額は37億ドル。

他の中央アジア諸国と中国の間では、ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領と習国家主席が17日の首脳会談後に、ウズベキスタンのWTO加盟交渉完了に関する議定書に署名した。また、タジキスタンの大統領付属イノベーション・デジタル技術庁が同日、中国国家発展改革委員会と人工知能(AI)分野での協力強化に関する覚書を締結した。中国国家発展改革委員会はキルギスのデジタル発展・イノベーション技術省ともAI分野に関する協力センター設立覚書を締結した。トルクメニスタン政府は、中国政府と締結した技術経済協力協定の披露式典を17日の2国間首脳会談後に実施した。

アスタナ宣言によると、第3回首脳会議は2027年に中国で行われる予定。

(浅元薫哉)

(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、中国)

ビジネス短信 8f8f83ea1ed3213d