TICAD9でナカラ回廊開発によるグローバル・サプライチェーンの強靭化を発表
(アフリカ、モザンビーク、日本)
調査部中東アフリカ課
2025年09月02日
日本政府と国連などが共催する第9回アフリカ開発会議(TICAD9)が8月20~22日に横浜市で開催され、アフリカから33人の首脳級を含む49カ国の代表、国際機関の代表などが参加した(2025年8月25日記事参照)。
TICAD9の機会に、石破茂首相は8月20日、モザンビーク、マラウイ、ザンビアに対する広域協力「ナカラ回廊開発によるグーバル・サプライチェーンの強靭化(きょうじんか)」の立ち上げを発表した。
ナカラ回廊はアフリカ南東部に位置し、内陸国のザンビア、マラウイからモザンビークのナカラ港を経てインド洋とつながる国際回廊で、日本の円借款によりナカラ港整備事業も実施した(2023年完工)。石破首相が同日に立ち上げを発表した「インド洋・アフリカ経済圏イニシアティブ」(2025年8月22日記事参照)とも関連する。
今回の協力では、ナカラ回廊地域の輸送インフラ整備・強化および、鉱業や農業など産業振興を図り、域内の連結性を強化し、鉱物資源などの輸送ルートとしての価値を高め、日本の各種資源のグローバル・サプライチェーンを強靱化することを目的とする。
ザンビアでは銅やコバルト、ニッケルが産出されるほか、モザンビークでは天然ガス田が発見されている。一方、モザンビークのカーボデルガード州では、アフリカ最大規模の液化天然ガス(LNG)開発中に治安が悪化していた。日本の外務省は8月22日、モザンビーク政府の治安維持能力向上と現地の復興を支援することにより、日本の企業や公的機関が関与するLNG事業の早期再開と安定操業に貢献する協力「サプライチェーン強靱化のためのカーボデルガード州安定化」を発表した。
なお、TICAD9のテーマ別イベントとして、ジェトロは8月20~22日に横浜で「TICAD Business Expo & Conference(TBEC)」を開催し、日本企業194社・団体が出展、日・アフリカから実人数で約1万人が参加した(2025年8月27日記事参照)。アフリカ展開に取り組む企業が出展したほか、会場内で実施されたステージイベントにおいて、インフラ・物流や鉱物資源関連イベントも開催された。
(井澤壌士)
(アフリカ、モザンビーク、日本)
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