TICAD9で石破首相が「インド洋・アフリカ経済圏イニシアティブ」を発表
(アフリカ、インド、日本)
調査部アジア大洋州課
2025年08月22日
第9回アフリカ開発会議(TICAD9)の開会に伴い、8月20日に横浜で「インド洋・アフリカ経済圏フォーラム~日・インド洋連携によるアフリカの発展へ~」が日本経済新聞社の主催で開催された。経済産業省と外務省が共催し、ジェトロなども後援した。
冒頭あいさつに立った石破茂首相は、インドとアフリカの地理的、歴史的な近接性に触れながら、今後政府が推進する「インド洋・アフリカ経済圏イニシアティブ」について発表した。日本がこれまで進めてきた「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」のビジョンの下、グローバルサウスとの連携を強化し、自由で公正な経済圏の構築を図る。石破首相は、インドで製造した製品をアフリカに輸出するダイキンやスズキの事例を挙げ、「インドのモディ首相とも議論を深め、このイニシアティブを地域全体の取り組みとしていきたい」とした。そのほか、トーゴのフォール・ニシャンベ閣僚評議会議長(首相)、モザンビークのダニエル・フランシスコ・チャボ大統領、インドのシビ・ジョージ駐日大使らがあいさつし、同経済圏の連結強化などに期待を込めた。
フォーラムでは、アフリカビジネスの関係者らがアフリカの機会や課題、企業連携などについて議論した。「インド洋アフリカ経済圏の可能性」セッションでは、ジェトロの仲條一哉参与が基調講演を行った。仲條参与はアフリカ市場を狙う上でのインドの強みやアフリカにおけるインド系移民の存在感について指摘するとともに、アフリカビジネスの課題にも触れ、「業界で信頼され、評価されている第三国などのパートナーを見つけていくことが重要」と語った。
同セッションのパネルディスカッションでは、インドとアフリカの経済発展の推移や市場の類似性などから、インドが経験した課題や経済成長のモデル、インド市場向け製品をアフリカに展開していく可能性などについて語られた。パネリストとして登壇した豊田通商の今井斗志光代表取締役社長は、「アフリカビジネスにはファーストムーバーアドバンテージがある」とし、その上で持続可能な体制となるよう事業をスケールしていくことの重要性を語った。
冒頭あいさつに立った石破首相(ジェトロ撮影)
「インド洋アフリカ経済圏の可能性」セッションのパネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)
(古屋礼子)
(アフリカ、インド、日本)
ビジネス短信 146a4565be4ff5c6