シンガポール副首相が訪中、多国間貿易体制の維持確認
(シンガポール、中国)
シンガポール発
2025年09月09日
シンガポールのガン・キムヨン副首相兼貿易産業相は9月4日、訪問先の北京で、中国の韓正国家副主席や何立峰副首相、王文涛商務部長とそれぞれ会談した。ガン副首相は王商務部長との会談で、両国が「ルールに基づく国際秩序と多国間貿易体制を維持する」という共通の認識を確認した。また、ガン副首相は中国が2026年にAPEC議長国を務めることに歓迎の意を示した。
ガン副首相の今回の訪中は、副首相として初の公式訪問となった。8月31日から5日間の日程で広州、深セン、北京を訪れた。訪問最終日の9月4日の韓副主席との会談では、貿易や投資、デジタル、金融など幅広い分野で2国間の協力が進展していると述べた。また、2025年後半に重慶で開催予定の第21回2国間協力共同委員会(JCBC)に前向きな姿勢を示した。JCBCは2003年に設置され、翌年から両国で交互に開催している(2024年11月21日記事参照)。
また、何副首相との会談では、両国間の経済協力について協議した。2国間プロジェクトの「中国・シンガポール蘇州工業団地」(開発開始:1994年)、「中国・シンガポール天津市エコシティー」(同2007年)、「中国・シンガポール(重慶)戦略コネクティビティー・デモンストレーション・イニシアチブ」(同2015年、注)などを通じて、経済連携を強化していく方針を再確認した。ガン副首相は9月3日に、北京市内で開催された「抗日戦勝80年」軍事パレードにも出席した。
両国は2025年に国交樹立35周年を迎えている。シンガポールのローレンス・ウォン首相兼財務相も6月に訪中し、両国の関係深化を確認した(2025年6月27日記事参照)。
(注)中国・シンガポール(重慶)戦略コネクティビティー・デモンストレーション・イニシアチブについては、2019年4月8日付地域・分析レポート「シンガポールから見た、重慶・ASEANを結ぶ陸海新輸送路」の前編、後編を参照。
(本田智津絵)
(シンガポール、中国)
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