風力発電のオーステッド、約1.4兆円の追加増資を決議

(デンマーク、米国)

デュッセルドルフ発

2025年09月12日

デンマークの風力発電開発大手のオーステッドは9月5日、臨時の株主総会を開催し、株主割当増資による600億デンマーク・クローネ(約1兆3,800億円、DKK、1DKK=約23円)の追加増資についての議案を決議した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。報道によると、98.5%の株主が賛成票を投じたとされている(9月5日付「フィナンシャル・タイムズ」)。

これに先立ち、同社は8月11日の取締役会で、既存株主に優先購入権を付与する株主割当増資を行う計画を決定し、同社株式の50.1%を所有するデンマーク政府からの約300億DKK(約6,900億円)の増資賛同を得ていることを明かしていた。同じく米国で洋上風力事業を実施し、オーステッドのシェア10%を保有するノルウェーのエネルギー大手エクイノール(2025年5月22日記事参照)も、9月1日に割り当て分の出資に合意することを発表した。

今回追加増資を募った背景として、米国における前例のない規制による洋上風力発電市場の悪化が要因に挙げられる。特に、関税引き上げに伴う建設材料の価格高騰などの影響もあり、米国ニューヨーク州沖で開発が進められている「サンライズ・ウインド」プロジェクト(2024年3月27日記事参照)の資金繰りの悪化が大きく影響しており、持続的な経営基盤を維持するために今回の決定に踏み切った。

また8月に、米国海洋エネルギー管理局(BOEM)からロードアイランド州沖、コネチカット州沖で建設中の洋上風力発電プロジェクト「レボリューション・ウインド」の建設凍結命令を受けた同社は(2025年8月27日記事参照)、9月4日に、コロンビア特別区連邦地方裁判所に建設再開とBOEMによる建設凍結命令の違法性に関して提訴したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

ここ数年のマクロ経済やサプライチェーンの課題に加え、米国における前例のない規制への対応など、洋上風力開発事業が苦境に立たされている中、オーステッドは、同社と株主にとって、株主割当増資が事業計画を遂行するための最善策と結論付けた。

(安岡美佳)

(デンマーク、米国)

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