オーステッド、米国洋上風力開発の停止命令を受けて法的措置も検討
(デンマーク、米国)
デュッセルドルフ発
2025年08月27日
米国の海洋資源の管理と開発を担当する海洋エネルギー管理局(BOEM)は8月22日、デンマークの洋上風力発電や環境・エネルギー大手のオーステッドに対し、同社の子会社が米国ロードアイランド州沖、コネチカット州沖で建設中の洋上風力発電プロジェクト「レボリューション・ウィンド」の建設凍結命令を通達した。これに対し、オーステッドも同日に通達を受け取ったことを公表し、法的措置を含むさまざまな対応策を検討していくとしている(プレスリリース
)。
BOEMの書簡には、同プロジェクトに対し、2025年1月20日に発表された「外洋大陸棚における洋上風力発電リースからの一時的な撤退と、連邦政府の風力発電プロジェクトに対するリースや許可慣行を見直す大統領令」に基づく審査を行うために、今回の措置を講じたことが記されている。
オーステッドのプレスリリースによると、同プロジェクトは、風力タービン65基を建設し、2026年後半から約20年間、ロードアイランド州に400メガワット(MW)、コネチカット州に304MWの電力を供給し、両州あわせて35万世帯のエネルギー需要を満たす見込みだった。
また、同社は、同プロジェクトが9年以上前に開始された適切な審査を経て、連邦政府および州政府により2023年11月17日付で建設・運営計画が承認され、既にプロジェクト全体の80%が完工していることも公表。その上で、訴訟を含むさまざまなシナリオを考慮していくとしている。
米国内務省は2025年4月、ニューヨーク州沖で開発が進行中だった洋上風力発電プロジェクト「エンパイア・ウインド1プロジェクト」に対し、開発に関するさまざまな分析が十分に行われなかったことを理由に、建設中止を指示(2025年4月18日記事参照)。これに対し、洋上風力開発を推進するニューヨーク州および同プロジェクトの事業主体であるノルウェー大手エネルギー開発企業エクイノールは、トランプ政権との交渉により建設中止命令の解除を受け、同プロジェクトを再開した(2025年5月22日記事参照)。
今後、オーステッドは同事例を参考にしながら、米国関係機関との事業再開に向けた対話に努め、建設凍結命令解除に向けた打開策を探ることとなる。
(安岡美佳)
(デンマーク、米国)
ビジネス短信 be6c9e47b4190146