ドイツ経済、輸出減が響き第2四半期はマイナス成長、過去2年の成長率も改定により下方修正

(ドイツ)

ベルリン発

2025年09月02日

ドイツ連邦統計局は8月22日、2025年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(前期比、確定値、物価・季節・営業日調整済み)をマイナス0.3%と発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。第1四半期(1~3月)のプラス0.3%から一転してマイナス成長となったが、これには輸出減と製造業および建設業の不振が響いたとみられる。

需要項目別の内訳をみると、個人消費支出が0.1%増、政府消費支出が0.8%増と小幅な伸びを示した一方、設備投資(機械・装置など)は1.9%減、建設投資は2.1%減と大きく落ち込んだ(添付資料表参照)。輸出は0.1%減、輸入は1.6%増で外需の寄与度はマイナス0.7ポイント減となり、こちらも経済成長を押し下げる要因となった。2025年第1四半期期の輸出は、米国による追加関税の発表を受けた前倒し需要などにより2.5%増だったが、続く第2四半期には、米国とEU間の関税交渉をはじめとする経済政策の不確実性の影響が表れたとみられる。

EUと米国は(1)一般関税率(MFN税率)、(2)MFN税率と相互関税率の合計15%、のいずれか高い関税率を適用することで合意したが(2025年7月29日記事2025年8月22日記事参照)、輸出主導型のドイツ経済においては懸念の声も上がる(2025年7月31日記事参照)。特に自動車や医薬品など主要輸出品への課税は、業界に負担を強いるとの見方が強い。

今回の発表では、例年どおり過去4年間(2021年以降)のデータも見直され、 2023年の実質GDP成長率は従来のマイナス0.1%からマイナス0.7%へ、2024年はマイナス0.2%からマイナス0.5%へと下方修正された。これを受け、現地経済紙「ハンデルスブラット」(8月14日付)は、これまで「停滞」とされていたドイツ経済が実は「景気後退」だったと報じた。

ドイツ連邦銀行は、第3四半期も経済成長が見込めず、停滞が続くとの見通しを示している。米国とEUの貿易摩擦は基本合意により不確実性がやや和らいだものの、米国の政策の不確実性さや、世界貿易や労働市場見通しの低迷などが企業投資や個人消費の重しになると指摘している。

また、ドイツ連邦統計局は8月13日、2025年7月の消費者物価指数(CPI、確報値)が前年同月比で2.0%上昇したと発表した。カテゴリー別にみると、エネルギーは3.4%下落、食品は2.2%上昇。エネルギーと食品を除いたコアインフレ率は2.7%上昇と、全体のCPI上昇率を上回った。なお、6月のCPIも2.0%上昇、コアインフレ率は同じく2.7%上昇だった。

(打越花子)

(ドイツ)

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