印中首脳会談、ライバルでなくパートナーであることを確認

(インド、中国)

ニューデリー発

2025年09月10日

インドのナレンドラ・モディ首相は、8月31日から9月1日にかけて中国・天津で開催された上海協力機構(SCO)首脳会議に参加するため中国を訪問し、8月31日に中国の習近平国家主席と会談を行った外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。モディ首相の訪中は2018年4月以来、約7年ぶり。

首脳会談で両首脳は、両国はライバルではなく開発パートナーであり、両国の相違が紛争に発展してはならないことを再確認した。また、インドと中国本土間の直行便再開とビザ発給の円滑化を通じた人的なつながり強化の必要性を認識した。モディ首相は、2国間関係の継続的な発展のためには、国境地域における平和維持が重要であることを強調したほか、両国の関係を第三国のレンズを通して見るべきではないと指摘した。

2020年ごろから関係が悪化していた両国だが、2025年8月19日に中国の王毅外相がインドを訪問してモディ首相と面会するなど、両国間の距離は急速に接近している(2025年8月22日記事参照)。この背景には、米国トランプ政権のインドに対する関税措置(2025年8月8日記事参照)による印米関係の急速な冷え込みがあるとみられる。

他方、9月6日にはモディ首相がX(旧Twitter)の公式アカウントで、「インドと米国の間には、非常に前向きで未来志向の包括的・戦略的パートナーシップがある」と投稿するなど、米国との関係性をアピールした。また、9月8日に米国の関税政策などに関する協議を目的としてオンラインで開催されたBRICS首脳会談には、習国家主席やロシアのプーチン大統領が出席する中、モディ首相は欠席し、スブラマンヤム・ジャイシャンカール外相が代理出席した。インド政府は、中国や米国を含む各国と独自の距離感を保ち、自国の利益を重視した全方位外交を図りたい狙いとみられる。

写真 会談を行ったモディ首相と習国家主席(インド首相官邸ウェブサイトより)

会談を行ったモディ首相と習国家主席(インド首相官邸ウェブサイトより)

(丸山春花)

(インド、中国)

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