大統領が新首相を正式に任命、エネルギー省は体制強化
(アルジェリア)
パリ発
2025年09月19日
アルジェリアのアブデルマジド・テブン大統領は9月14日、暫定首相を務めていたシフィ・グリエブ氏を正式に首相に任命した(9月14日付国営通信社「アルジェリア・プレス・サービス」)。
テブン大統領は8月28日、2023年11月に就任したナディル・ラルバウイ首相を解任し、グリエブ産業相を暫定首相に任命していた。ラルバウイ氏の解任理由について、公式な発表はなかった。
グリエブ氏(54歳)はアルジェリアン・カタール・スチール(AQS)の取締役会会長や、鉄系・非鉄系の廃棄物回収と販売を行っている国営回収公社(当時ENR、現SNRV)の最高経営責任者(CEO)など要職を歴任してきた。大統領が特定分野に精通した専門家を首相に任命した理由は、政権の最優先課題が産業部門の改革にあるとの報道もある。
また、テブン大統領はグリエブ首相任命と同時に、新内閣の閣僚も任命した。外相や、国防省担当大臣兼国軍参謀総長、法務・国璽(こくじ)相、財務相、対外貿易・輸出促進相、製薬産業相など34人のうち、過半数の閣僚が留任し、10人が交代となった。
新たにエネルギー・再生可能エネルギー相として、国営電力公社ソネルガスのムラッド・アドジャルCEOが任命された。また、アルカブ前エネルギー・鉱業・再生可能エネルギー相が炭化水素・鉱業相となった。前内閣まで存在したエネルギー・鉱業・再生可能エネルギー省の分割について、新時代のエネルギー戦略が展開され始める中(2025年8月27日記事参照)、化石燃料と鉱業、電力・再エネも重視して体制を強化し、全ての分野に本格的に取り組む狙いがあるとされている(9月15日付「アルジェリア360」)。
国内商業・国内市場規制相にはアメル・アブデラティフ氏が新たに任命された。同氏は2020年から税務総局長を務めた。食料品などの安定供給(2023年11月17日記事参照)や価格の高騰対策を期待されているとの報道もある(9月15日付「ラ・パトリエニュース」)。
産業相にはヤヒア・バシール氏が任命された。同氏は国営セメント産業グループ(GICA)の元CEOで、同グループの輸出事業の成長に貢献したとされる。アルジェリアの輸出はエネルギー価格に大きく左右され、炭化水素依存が経済の構造的な弱点となる中(2024年4月5日付地域・分析レポート参照)、現地報道によると、政府は経済の多様化を加速する方針を強化したという。
(ピエリック・グルニエ)
(アルジェリア)
ビジネス短信 17a42d5854244997