中国、一部の米国産光ファイバーに対する反規制回避措置を開始
(中国、米国)
北京発
2025年09月08日
中国商務部は9月3日、米国を原産地とする一部の光ファイバー製品(注1)に対する反規制回避措置の実施を商務部公告2025年第48号で発表した。これは、3月4日から最長6カ月間として実施した「反規制回避調査」(2025年3月6日記事参照)の調査結果に基づくものとなる。
公告では、一部の米国産光ファイバーに対し、既存のアンチダンピング(AD)措置(注2)を回避したと裁定し、9月4日から当該製品の輸入に当たっては、対象企業(注3)ごとに設定した33.3~78.2%のAD税を徴収することとした。今回の措置は、既存のAD措置の期限に合わせた2028年4月21日までとしている。
同措置について、商務部は9月4日の報道官談話で次のように解説した。まず、調査の経緯については、「中国企業による当該製品に対する反規制回避調査の申請を受け、3月4日から調査を開始した。調査は法に基づいて公開された透明性のあるプロセスを経て、各利害関係者の権利を十分に保障した」と説明した。その上で、「調査結果により米国の輸出業者による一部の光ファイバーの対中輸出が中国のAD措置を回避したことを確認したことから、今回の措置の発表に至った」とした。
また、商務部貿易救済調査局は今回の反規制回避調査について、「中国の法律とWTOのルールに合致し、現行の貿易救済措置の効力を維持し、貿易救済措置の実施効果の確保を目的とするものだ」と説明した。さらに、「商務部は2025年7月30日に『貿易救済措置における反規制回避調査規則』の意見募集(2025年8月1日記事参照)を実施し、中国は一貫して慎重かつ抑制的に貿易救済措置を実施し、公平かつ自由な貿易を堅持している」とした。その上で、「現行の貿易救済措置の有効性を断固として守り、国内産業の合法的権益を保護するために、必要な措置を講じていく」とした(「新華網」9月4日)。
(注1)HSコード90011000の品目のうち、米国を原産地とするカットオフシフトシングルモード光ファイバー(G.654.C光ファイバー)が対象。商務部公告での中国語表記は相関截止波長位移単模光纖、英語表記はCertain Cut-off Shifted Single-mode Optical Fiber。
(注2)米国を原産地とする一部の光ファイバー製品に対するAD措置は2011年4月22日から5年間実施し、それ以降、2017年4月22日から5年間継続、2023年4月22日から再度、5年間継続していた。
(注3)対象企業と税率は次のとおり。
- 康寧公司(Corning Incorporated):37.9%
- OFS-費特有限責任公司(OFS Fitel, LLC):33.3%
- 徳拉克通信米国公司(Draka Communications Americas, Inc.):78.2%
- その他米国企業:78.2%
(蔣春霞)
(中国、米国)
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