インド・英国FTA、今後のさらなる貿易拡大に期待

(インド、英国)

ベンガルール発

2025年08月04日

インド・英国間で包括的経済貿易協定(CETA:Comprehensive Economic and Trade Agreement)が7月24日に締結された(2025年7月30日記事参照)。これにより、貿易面で大部分の品目に対して相互の関税撤廃や引き下げが行われ、インドから英国への輸出では、全品目の99%について英国側の輸入関税が撤廃される予定だ。

2024年のインドの国・地域別輸出入額の上位10位をみると、インドから英国への輸出は143億100万ドルに上り、6番目の輸出相手国となっている(添付資料表1、2参照)。英国からの輸入は上位10位には含まれず、表には示されないが、85億900万ドルで、2024年のインド・英国間の貿易総額は228億1,000万ドルになっている。ピユシュ・ゴヤル商工相も、英国とのCETA締結に当たって約230億ドルに上る貿易総額について言及するなど、将来的なビジネス機会の拡大に期待を示している。

2024年のインドの対英輸出入を主要品目別に示すと、輸出では携帯電話など(主にスマートフォン)が15億3,800万ドル(構成比10.8%)で首位となっている(添付資料表3、4参照)。近年、電子機器受託製造(EMS)大手がインド南部を中心に、スマートフォン製造を手掛けており、それに伴い、インドから米国や中東、欧州地域への輸出が増加傾向にある(2025年6月10日記事参照)。英国は携帯電話の仕向け地として第4位の位置にあり、今後、スマートフォンの英国向け輸出拡大に期待を示す現地報道もある(7月24日付「エコノミック・タイムズ」)。

輸入では、銀の一次製品などが24億ドル(構成比28.2%)で、首位となっている。次いで、鋳鉄のくず・ステンレス鋼のくずなど、ターボジェット・ターボプロペラ・ガスタービン、アルコール飲料(ウイスキーなど)が続く。現地メディアには同じく、インド側の輸入関税引き下げにより、貴金属、ウイスキー、化粧品などの価格が今後低下することに期待を示す報道も見受けられる(7月24日付「エコノミック・タイムズ」)。

(水谷俊博)

(インド、英国)

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