インドと英国、自由貿易協定(FTA)締結

(インド、英国)

ニューデリー発

2025年07月30日

インド政府は7月24日、英国との自由貿易協定(FTA)として包括的経済貿易協定(CETA:Comprehensive Economic and Trade Agreement)を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。CETAの全文はインド商工省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英国政府外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのウェブページで公開されており、両国での承認手続きを経て、今後1年程度で発効される見込み。2025年5月6日には、両政府が同協定締結の合意を発表していた(2025年5月7日記事参照)。現在、年間560億ドル規模(物品・サービス合計)の2国間の貿易額を2030年までに倍増させることを目指す。

貿易面では、大部分の品目に対して相互の関税撤廃や引き下げを行う。インドから英国への輸出については、全輸出品目の99%に対して英国側の輸入関税が撤廃される。英国からインドへの輸出に関しては、89.5%の品目に対してインド側の輸入関税が撤廃もしくは引き下げられる。ただし、即時の関税撤廃対象となるのは輸出全体の24.5%に限られ、残りの品目では今後10年間にわたり段階的な関税引き下げが行われる。なお、CETAの適用に当たり必要となる原産地証明書については、手続きの簡略化のため自己証明方式が採用された。

関税以外の施策でも、両国間での貿易と投資の活性化を促す。英国においては、英国内で就労するインド人従業員とその雇用主に対し、英国の社会保障拠出金の支払いを最大36カ月間免除する点などが盛り込まれた。インドにおいては、特定分野の政府調達について英国企業への開放などが盛り込まれた。また、両国は協定の発効から12カ月以内に、看護・会計・建築などの分野で専門資格の相互承認協定(MRA)の締結を目指すことで合意した。

インド政府は、インドに対する26%の「相互関税」を発表した米国(2025年4月7日記事参照)との関税交渉を進める中、英国のほか、EUとも2025年内のFTA締結を目指し協議を進めている。各国とのFTA締結を急ぎ、貿易面での結びつきを強化することで、米国との交渉力強化や輸出先の多角化を図りたい狙いとみられる。

(丸山春花)

(インド、英国)

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