南部を中心に増加傾向が続くインドの携帯電話輸出
(インド)
ベンガルール発
2025年06月10日
インドでは、台湾の鴻海精密工業傘下のフォックスコン、財閥大手タタ・グループが緯創資通(ウィストロン)や和碩聯合科技(ペガトロン)から買収した工場など、電子機器受託製造(EMS)大手が南部のタミル・ナドゥ(TN)州やカルナータカ州などを中心に携帯電話の製造を手掛けている。それに伴い、近年、ベンガルール空港やチェンナイ空港からの携帯電話輸出が大きく伸びている。
インドの2024年度(2024年4月~2025年3月)の携帯電話輸出は258億8,100万ドルに上り、前年度比52.2%増となった。国別では(添付資料表1参照)、特に米国向け輸出が伸びており、2024年度の同国への輸出額は108億6,400万ドル(前年度比87.1%増)で、輸出全体の42.0%を占めた。米国以外では、アラブ首長国連邦(UAE)、オランダ、英国、イタリアなど、中東や欧州地域への輸出が上位だった。日本向けは5億2,500万ドルと輸出全体に占める割合は2.0%に過ぎないが、前年度比では約6倍と大幅伸展した。
ベンガルール空港とチェンナイ空港からの携帯電話輸出をみると、2024年度はベンガルール空港から51億4,300万ドル、チェンナイ空港から119億8,000万ドルとなり、両空港合わせて171億2,300万ドルの携帯電話が輸出された(添付資料表2参照)。両空港でインド全体輸出の66.2%を占め、インドの携帯電話輸出は南部からが中心であることがわかる。
2025年3月には、米国による関税引き上げの前にインドからiPhoneの米国向け輸出が大幅に積み増しされた、との報道があったが(2025年4月16日原稿参照)、両空港からの同月の米国向け輸出は22億7,889万ドルと前年同月の7億4,690万ドルから3倍に増加しており、貿易統計上でも両空港から2025年3月に米国向けに多くのiPhoneが輸出されたことがわかる。
今後、米国による携帯電話への追加関税が課されるかは現時点では明らかにされていないが、引き続き動向を注視していく必要がある。
(水谷俊博)
(インド)
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