上半期の農林水産物・食品輸出額は過去最高の8,097億円

(日本、世界、米国)

農林水産食品部市場開拓課

2025年08月06日

日本の農林水産省は8月4日、財務省貿易統計に基づく2025年上半期(1~6月)の農林水産物・食品の輸出実績を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。輸出総額は前年同期比15.5%増の8,097億円(少額貨物輸出額501億円を含む)で、2002年の統計開始以降、上半期としては過去最高額となった。同省は輸出増加の主な要因として、海外での日本食レストランの増加や日本食への関心の高まり、インバウンドの増加による日本食の認知度向上、健康志向の高まりなどを挙げている。

品目別にみると、輸出重点品目(注)のうち、前年同期比で輸出額の増加が大きいものは、ホタテ貝(輸出額350億円、109億円増)、緑茶(263億円、104億円増)、ブリ(257億円、51億円増)などだった。ホタテ貝は、米国内でのホタテ貝減産で日本産の需要が高まったほか、中国の日本産水産物輸入停止後の輸出先転換を受けて、ベトナムやタイ向けなども増加した。緑茶については、健康志向や日本食への関心の高まりなどを背景に、ラテやスイーツの原料となる抹茶を含む粉末状茶を中心に、欧米や東南アジア向けで増加がみられた。

輸出先の上位は、1位が米国(1,410億円、前年同期比22.0%増)、2位が香港(1,068億円、3.4%増)、3位が中国(902億円、15.0%増)で、上位3カ国・地域は前年同期と同じ順位だった。1位の米国向けでは、ホタテ貝(98億円、108.5%増)、緑茶(111億円、48.4%増)、ブリ(172億円、24.2%増)などの大幅な増加が輸出額全体の増加につながり、上半期の輸出額としては過去最高を記録した。

なお、米国については、8月1日まで10%のベースライン関税の適用が停止されていたが(2025年7月8日記事参照)、8月7日から農林水産物や食品には15%の相互関税が適用される見込みで(2025年8月4日記事参照)、下半期以降は関税措置の影響にも注視する必要がある。

(注)農林水産省は「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、海外で評価される日本の強みがあり、輸出拡大の余地が大きく、関係者が一体となった輸出促進活動が効果的な品目として、31品目を輸出重点品目に選定している(2025年6月5日記事参照)。

(熊谷佐和子)

(日本、世界、米国)

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