農林水産省、「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」を改定

(日本)

農林水産食品部市場開拓課

2025年06月05日

農林水産省は、新たな「食料・農業・農村基本計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(2025年4月11日閣議決定、2025年4月17日記事参照)で設定された政府目標(注1)を達成するため、「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(注2)を改定したことを5月30日に公表した。

米国の関税措置など世界の通商環境が不透明化する中で、輸出構造を強靭(きょうじん)化する重要性が高まっている。同戦略では、日本の農林水産業・食品産業の生産性向上およびブランド化などによる高付加価値化を進めるとともに、非日系市場や未開拓の有望地域・分野などの新市場を開拓し、輸出先の多角化を進めるとした。

輸出拡大を加速するために、特に日本の強みを生かせる31品目を輸出重点品目(注3)として選定するとともに、輸出重点品目ごとの目標、さらに品目ごとに国・地域別目標、輸出産地数、課題と対応方向を策定した。今回の改定で、果樹(ナシ)、ホタテ貝加工品、カキ・カキ加工品が追加された。それぞれの品目別輸出目標などは、32ページから別表1PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)にまとめられている。

また、今回、輸出重点品目別のターゲット国・地域、輸出目標達成のための手段を含む輸出促進施策の改定のほか、食品産業の海外展開およびインバウンドによる食関連消費の拡大に関する施策を新たに位置付けた。

「食品産業の海外展開」においては、海外市場などの特徴や事業ステージに応じた国内外での伴走支援体制の構築や、海外現地における専門家の配置や日系食品企業のネットワーク化を推進することが挙げられた。

「インバウンドによる食関連消費の拡大」においては、地域の魅力ある食材や歴史・文化を1つのストーリーとしてインバウンド(訪日外国人旅行者)に訴求する地域づくりを推進しつつ、海外への日本食プロモーション、バイヤー招へいなどの輸出施策を連動するなどとした。

ジェトロは、輸出支援プラットフォームとともに、農林水産省、経済産業省、日本政府観光局(JNTO)、JFOODOなどの関係省庁、関係機関および認定品目団体との連携を促進する。

(注1)2030年度の目標は、(1)農林水産物・食品の輸出額5兆円(2024年度は1兆5,000億円)、(2)食品産業の海外展開よる収益額3兆円(同1兆6,000億円)、(3)インバウンドによる食関連消費額4兆5,000億円(同1兆6,000億円)。

(注2)2020年12月に同戦略が策定され、今回の改定が5回目となる。これまでの「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますおよび新旧対照表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

(注3)海外で評価される日本の強みがあり、輸出拡大の余地が大きく、関係者が一体となった輸出促進活動が効果的な品目:牛肉、豚肉、鶏肉、鶏卵、牛乳乳製品、果樹(りんご、ぶどう、もも、かんきつ、かき・かき加工品、なし)、野菜(いちご、かんしょ・かんしょ加工品、ながいも、たまねぎなど)、米・パックご飯・加工米飯・米粉および米粉製品、茶、切り花、清涼飲料水、菓子、ソース混合調味料、味噌・醤油、清酒(日本酒)、ウイスキー、本格焼酎・泡盛、製材、合板、ぶり、たい、ホタテ貝・ホタテ貝加工品、カキ・カキ加工品、真珠、錦鯉

(古城達也)

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