IMF、ロシアの2025年の経済見通しを0.9%に下方修正
(ロシア)
調査部欧州課
2025年08月05日
IMFは7月29日、世界経済見通しを発表した(2025年7月31日記事参照)。ロシアの実質GDP成長率について、2025年は0.9%、2026年は1.0%と予測した。2025年4月の見通し(2025年5月2日記事参照)と比較して、2025年は0.6ポイントの下方修正、2026年は0.1ポイントの上方修正となった。
ロシア経済発展省は、IMFによるロシア経済成長率の見通しの下方修正に対して、国際金融機関の予測はこれまでも保守的な予測をしており、現実と一致していないと指摘した(「RBK」7月29日)。
ロシア中央銀行が7月25日に発表した中期見通しでは、2025年の実質GDP成長率は1.0~2.0%、2026年は0.5~1.5%とされた。4月時点の予測と比べて変更はなかった。
世界銀行は6月に発表した「世界経済見通し」の中で、2025年のロシアの実質GDP成長率を1.4%、2026~2027年はそれぞれ1.2%と予測した。前回見通し(2025年1月)と比較して、2025年は0.2ポイントの下方修正、2026年は0.1ポイント上方修正となった。世銀は下方修正の理由として、民間および政府消費の鈍化を挙げた。2024年に強まった金融引き締めの遅行効果、実質賃金の伸び悩み、政府主導の企業向け融資の減少が背景にある。エネルギー価格の下落が成長率と財政収入を下押しするとの見方も示された。輸出は横ばいにとどまり、国内需要の低迷や決済に関する制裁強化のために、輸入も伸び悩むと予測した。長期的には、国内の労働力不足や、国外の市場や技術へのアクセス制限が経済成長の制約要因になると指摘した。
(小野塚信)
(ロシア)
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