米内務省がニューヨーク州の洋上風力発電プロジェクトの建設中止を指示

(米国)

ニューヨーク発

2025年04月18日

米国のダグ・バーガム内務長官は4月16日、自身のSNSにおいてニューヨーク(NY)州で開発が進行中のエンパイア・ウインド1プロジェクトに関し、「バイデン政権が十分な分析を行わずに承認を急いだことを示す情報があり、これに関するさらなる調査が終了するまで、本プロジェクトに関する全ての建設活動を直ちに中止するよう指示した」と発表した。2025年1月20日に発表された「外洋大陸棚における洋上風力発電リースからの一時的な撤退と、連邦政府の風力発電プロジェクトに対するリースや許可慣行を見直す大統領令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」では、内務長官に対し、洋上風力発電プロジェクトの実施に必要なリースの認可などについて新規・更新を停止するとともに、既存のリース契約についても包括的な審査を行うことを求めており、今回の決定はこれに沿ったものとみられる。

これに対し、NY州のキャシー・ホークル知事(民主党)は、「本プロジェクトは連邦政府の許可を完全に取得しており、大統領令の発令以前に着工もしている。知事として、連邦政府の過剰な介入を許すつもりはなく、雇用、手頃なエネルギー、NY経済の未来を守るため、徹底的に対抗していく」と述べ、今回の内務省による決定に対抗していく考えを示した。

NY州では、2030年までに発電量の70%、2040年までに100%を再生可能エネルギーで賄うことを目標としており、洋上風力発電はこの目標達成の要となっている。また、これに付随するかたちで洋上風力発電に係る産業投資や雇用創出も期待されていることから、洋上風力発電プロジェクトの停止は同州にとっては深刻な打撃となり得る。NY州では2026年11月に州知事選も予定されており、今後の争点の1つにもなってきそうだ。

本プロジェクト以外にも、既に認可済みの洋上風力発電プロジェクトに対して、共和党の議員からは建設阻止の圧力がかかっているという(「ニューヨーク・タイムズ」紙2025年4月16日)。現時点では5つのプロジェクトが同様に認可を受けて建設中とされており(2024年3月18日3月27日記事参照)、今回の決定が他のプロジェクトに影響を及ぼす可能性が懸念される。

(加藤翔一)

(米国)

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